2004.03.08

【再掲】【連載:がんの治療成績を読む】 その10 初公開! 主要23施設の5年生存率 生存率に36.5%の格差、尺度となる「期待生存率」必要

 今回は、全国の代表的ながん病院について、施設別の生存率を見る。

 こうした施設に関して個別のがん生存率の情報は極めて少ないが、日経メディカルでは全国がん(成人病)センター協議会に加盟している施設のうち23カ所の成績を集計したデータを入手した<表1>。

 出典は、厚生労働省のがん研究助成金による報告書「全悪性新生物の累積生存率」だ。2000年3月の報告書で、いささか古くなってはいるが、施設別の成績が出されているという点で、貴重なデータである。解析対象は、1992年1月から1997年12月の入院治療例。

 累積5年生存率(男女合計)では 1.癌研究会付属病院(77.4%)、2.国立九州がんセンター(67.5%)、3.千葉県がんセンター(66.2%)、4.愛知県がんセンター(65.9%)、5.滋賀県立成人病センター(65.4%)が上位に来る。

 下位には、山口県立中央病院(40.9%)、岩手県立中央病院(49.3%)、国立呉病院(50.0%) などが並ぶ。

 生存率が最も高い癌研究会付属病院と、最も低い山口県立中央病院の生存率の差は、実に36.5%もある。

 前回は治療施設群に分類した成績を紹介したが、同じ群に属する施設でも個別には大きな生存率の差がある。

 例えばがんセンター群。
1・癌研究会付属病院(77.4%)
2・国立九州がんセンター(67.5%)
3・千葉県がんセンター(66.2%)
4・愛知県がんセンター(65.9%)
5・国立四国がんセンター(64.2%)
6・栃木県立がんセンター(63.6%)
7・群馬県立がんセンター(61.2%)
8・国立がんセンター中央病院(59.4%)
9・神奈川県立がんセンター(58.9%)
10・埼玉県がんセンター(58.8%)
11・宮城県立がんセンター(51.3%)

 上位と下位で26.1ポイントの差だ。

 成人病センター群の中でも、 滋賀県立成人病センター(65.4%)と山形県立成人病センター(54.8%)で10.6ポイントの開きがある。

 治療成績を群ごとに比較することは、個別施設の格差を見えなくするだけで、あまり意味はなさそうだ。

 次に男女別の成績を見てみよう<表2;男性表3;女性>。

 同じ施設でも男女の成績に大きな差が存在する場合があることが注目される。

 東京都立駒込病院は男性の生存率は高いが、女性は上位ではない。一方、群馬県立がんセンターは女性に関して高い生存率を得ているが、男性においてはそうではない。

 全施設の合計において、女性の生存率が71.7%、男性の生存率が52.1%と、そもそも男女の生存率は大きく異なる。したがって、施設別成績を見る場合、患者の男女比率を見ることが重要なチェック点となることが分かる。

 今回入手した施設別生存率は、患者背景による調整をした「期待生存率」ではないので、これまで何度も触れたように、こうしたデータだけで直ちに施設の優劣や成績の有意差を論じることはできない。ただ、成績格差を論じる出発点にはなるだろう。また、成績の低い施設には、その理由に関する合理的な説明が求められる。

 施設によってがんの生存率が大きく異なることが明らかになった。1.施設別の治療成績の開示を進める、2.患者背景によって調整した期待生存率を整備し開示する、3.成績の低い施設が改善を行う−−といった体系的な取り組みが必要だ。

 次回は、施設別に1年〜5年の生存率の推移を見てみよう。

(埴岡健一、日経メディカル

*随時掲載ですが、当面は毎日掲載する予定です。
*読者からの情報提供をお待ちしています。癌の治療成績に関するデータやご意見があれば、お寄せください。今後の連載の参考にさせていただきます。
宛先:khanioka@nikkeibp.co.jp

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■ 訂正 ■
 本文中、「6・栃木県立がんセンター(36.6%)」とあるのは、「6・栃木県立がんセンター(63.6%)」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。(MedWave編集長、三和護)

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