2004.03.08

危険な肥満の徴候はBMIよりウエストサイズに現れる

 高血圧、高脂血症、メタボリックシンドロームの予知因子としては、BMIよりも腹囲(ウエストサイズ)の方が優れているとする解析を、カナダQueen's大学のIan Janssen氏らがAmerican Journal of Clinical Nutrition誌2004年3月1日号で報告した。米国の横断調査「NHANES III」を解析した結果だ。

 NHANES(全米健康・栄養調査)IIIは1988年から1994年にかけて行われた3万3199例に対する横断調査だが、今回Janssen氏らは、そのうち、ウエストサイズと代謝の各種指標が記録された、17歳以上でBMI18.5〜34.9の1万4924例を対象に、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドロームの有症率と、BMI、ウエストサイズの関連性を検討した。高血圧の定義は米国の高血圧ガイドラインであるJNC7、高脂血症とメタボリックシンドロームの定義は、米国の脂質管理ガイドラインのATP IIIに従った。

 まず、BMIが18.5〜24.9を「正常体重」、25〜29.9を「太り過ぎ(過体重)」、30.0〜34.9を「クラス1肥満」として上記疾患の有症率を比較すると、正常体重群に比べて太り過ぎ群とクラス1肥満群では、高血圧、高コレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセライド(TG)血症の有症率が、男女を問わず有意に多かったが、高LDLコレステロール血症は女性でのみ有意に多かった。

 これは年齢、人種、喫煙、アルコール摂取と経済的状況で補正した結果だが、これに加えてウエストサイズで補正すると、太り過ぎと男性の高TG血症、同女性の高コレステロール血症以外は、正常体重群に比べて有意な増加を示さなかった。

 次に、BMIとウエストサイズが上記疾患の予知因子となっているかどうか、ロジスティック回帰分析を行った。BMI、ウエストサイズとも、それぞれ単独では有意な予知因子だったが、BMIとウエストサイズを同時に変数とすると、ウエストサイズは、男性の高コレステロール血症、高 LDLコレステロール血症以外、すべての疾患に対して有意な予知因子だったのに対し、BMIが有意な予知因子となっていたのは男性の高血圧だけだった。

 すなわち、BMIを基準とした正常体重、太り過ぎ、クラス1肥満のどれに属していても、ウエストサイズが同じであれば、男性の高血圧、高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症以外のリスクは同等ということになる。Janssen氏らは、ウエストサイズを用いたリスクの層別化とその有用性の検証が必要だとしている。

 本論文の原題は、「Waist circumference and not body mass index explains obesity-related health risk」、アブストラクトはこちらで閲覧できる。(宇津貴史、医療ジャーナリスト)

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