2004.03.05

【話題】 患者さんに交流の場を提供する「楽患ねっと」 患者さんが自ら語る「いのちの授業」を新たに展開

 病気の体験をただ「辛く、悲しいもの」と考えるのではなく、貴重な体験として人生のプラスに生かしていけるようにしたい−−。そんな願いの元に、患者さんに交流の場を提供してきたNPO法人「楽患ねっと」が新たな事業に踏み出した。これまでは、インターネットでの交流の場の提供が中心だったが、今後は「いのちの授業」というオフラインでの交流にも取り組むという。「患者さんだからこそ語れる『いのちの大切さ』がある」(理事長の岩本貴氏;写真)からだ。当面は小学生やその親が対象だが、将来は医療関係者、特に研修医らにも広げていく意向だ。

 これまでもNPO法人「血液患者コミュニティももの木」などと協力して講演会を実施してきた。昨年は7件あまりだったが、今年は2月までですでに2件をこなしている。小学校の5、6年生、その保護者、教師らが対象。看護専門学校や福祉学科などの学生を対象に開催したこともある。

 特に最近開催した東京都荒川区では新年度から、区の教育委員会が積極的に協力し、区内の小、中学校へ「いのちの授業」の紹介をしてくれることになったという。これを機に、患者さんが自ら語る「いのちの授業」を積極的に展開することにした。

 ホームページ(http://www.rakkan.net/)でも「いのちの授業」を紹介するとともに、いのちの授業のメーリングリストも立ち上げた。いのちの授業の話し手も募集している。

 「いのちの授業」では、例えば以下のようなテーマで語り合えることを目指している。

 「いのちはだれのもの」「人生はリセットできない」「頑張り過ぎないこと、やめる勇気」「残される人への思い」「死の恐怖からの心の変化」など。

 岩本氏は、「患者になって初めて分かった知識、知恵というものもある」と指摘する。ナラティブ・ベイスド・メディシンという言葉をご存知の方も多いだろう。病気も人生の物語の一部としての意味を持っているわけだが、患者さんが語る物語の中には、医療関係者に伝えたいことも多く含まれているはずだと思う。

 「楽患ねっと」のような試みに賛同する医療関係者は少なくない。患者さんの物語に耳を傾ける場を提供する医療機関が数多く出てくることを願うばかりだ。(三和護)

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