2004.03.04

【再掲】【連載:がんの治療成績を読む】その7 がん拠点病院の治療成績(肝がん編)  肝がんの5年生存率、治療法別の生存率が重要

 今回は肝がんの生存率を見る。下記の<>は、地域がん診療拠点病院のホームページから、比較的情報公開が進んでいると思われる幾つかの施設の肝がん5年生存率を拾い上げ、表にしたものだ。

 標準的な成績の目安として、全国がん(成人病)センター協議会加盟施設の集計データ(注)も掲載した。

 全がん協施設の肝がんの5年生存率は、病期Iが49.4%、病期IIが40.3%、病期IIIが25.8%、病期IVが8.6%である。

 施設別に見てみよう。

 肝がんについては、「地域がん診療拠点病院の整備に関する指針」に明記された五つのがんの一つであり、男子のがん死因の3位で増加傾向が見られるにもかかわらず、情報を開示している施設が少数で、施設間の比較を十分に行うことは難しい。

 大阪府立成人病センターは、肝切除術、エタノール注入療法、肝動脈塞栓術の三つの代表的な治療法に分けて成績を開示している。この点は先進的だが、逆に三つを合わせた病期ごとの生存率が出ていないので他施設との比較がしにくい。高知県立中央病院などは、肝がんのうち肝細胞がんだけを取り出して開示しているので、肝臓のがん全体の生存率を出している施設との比較には慎重さが必要だ。

 肝がんに関しては、1.開示度合いが低いので、開示を進展させる、2.肝がん全体に関しての病期別成績を開示する、3.肝切除術、経皮的治療(エタノール注入療法、マイクロ波熱凝固療法、ラジオ波焼灼術など)、肝動脈塞栓術の三つの治療法別の成績を開示する、4.2を行った上で、がんの種類別(例:肝細胞がん)の成績開示を行う−−などが課題となっている。  

 これまで肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんと5種類のがんについて、具体的な施設の成績を見ながら考察してきた。他の種類のがんについても同様に見ていくことができるが、がんの種類別の分析はこの程度にして、次回からはパート2に進み、別の視点から施設間格差を考えていく。
                       
(埴岡健一、日経メディカル

注:群馬県立がんセンター、埼玉県立がんセンター、千葉県立がんセンター、国立がんセンター中央病院、癌研究会付属病院、神奈川県立がんセンター、国立病院四国がんセンター、国立病院九州がんセンター、茨城県立中央病院、東京都立駒込病院、新潟県立がんセンター、滋賀県立成人病センター、大阪府立成人病センター、兵庫県立成人病センター、山形県立成人病センター、福井県立成人病センター、岩手県立中央病院、国立大阪病院、山口県立中央病院の19病院の集計データ。なお、全がん協のうち、宮城県立がんセンター、栃木県立がんセンター、国立がんセンター東病院、愛知県がんセンター、国立札幌病院、国立呉医療センター、青森県立中央病院、富山県立中央病院、国立名古屋病院、佐賀県立好生館病院のデータは含まれていない。

*随時掲載ですが、当面は毎日掲載する予定です。
*読者からの情報提供をお待ちしています。癌の治療成績に関するデータやご意見があれば、お寄せください。今後の連載の参考にさせていただきます。
宛先:khanioka@nikkeibp.co.jp

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