2004.03.03

【連載:がんの治療成績を読む】 その6 がん拠点病院の治療成績(乳がん編)  乳がんの5年生存率、5年と10年の生存率が必要に

 今回は乳がんの生存率を見る。 <>は、地域がん診療拠点病院のホームページから、比較的情報公開が進んでいると思われる幾つかの施設の乳がん5年生存率を拾い上げ、表にしたものだ。  

 標準的な成績の目安として、全国がん(成人病)センター協議会加盟施設の集計データ(注)も掲載した。全がん協施設の乳がんの5年生存率は、病期Iが92.9%、病期IIが87.3%、病期IIIが63.0%、病期IVが31.8%である。

 施設別に見てみよう。

 大阪府立成人病センター、佐世保市立総合病院は10年生存率で出している。大分県立病院は5年生存率と10年生存率を併記している。

 乳癌は比較的、治癒率が高いので5年生存率では治療が奏功したのか見極めにくく、10年生存率を重要な尺度とする場合が増えている。ここでは大分県立病院が両方を併記しているので、5年生存率から10年生存率がどのように下がるのかが分かる。

 なお、乳がんでは、同じII期でもIIa期とIIb期、III期の中でもIIIa期とIIIb期の成績がかなり異なるので、a、bを区別して表示することが望ましい。

 施設間の違いを見ると、IIIa、IIIb期での生存率の差が大きい。これらのステージで施設の実力が測れることがうかがえる。

 都立駒込病院、日本医科大学付属多摩永山病院、国立大阪南病院はIII期において比較的高い成績を示しているようだ。一方で、鳥取県立厚生病院、徳島県立中央病院などの成績は振るわないようだ(標準的な成績に対して統計学的に有意な差があるかどうかは、さらなる分析を必要とする)。

 乳がんの生存率表示に関しては、5年生存率と10年生存率を併記し、II期をIIa、IIbにIII期をIIIa、IIIbに区別して開示することを標準としたい。    

 次回は肝がんを見る。

(埴岡健一、日経メディカル


注:群馬県立がんセンター、埼玉県立がんセンター、千葉県立がんセンター、国立がんセンター中央病院、癌研究会付属病院、神奈川県立がんセンター、国立病院四国がんセンター、国立病院九州がんセンター、茨城県立中央病院、東京都立駒込病院、新潟県立がんセンター、滋賀県立成人病センター、大阪府立成人病センター、兵庫県立成人病センター、山形県立成人病センター、福井県立成人病センター、岩手県立中央病院、国立大阪病院、山口県立中央病院の19病院の集計データ。なお、全がん協のうち、宮城県立がんセンター、栃木県立がんセンター、国立がんセンター東病院、愛知県がんセンター、国立札幌病院、国立呉医療センター、青森県立中央病院、富山県立中央病院、国立名古屋病院、佐賀県立好生館病院のデータは含まれていない。

*随時掲載ですが、当面は毎日掲載する予定です。
*読者からの情報提供をお待ちしています。癌の治療成績に関するデータやご意見があれば、お寄せください。今後の連載の参考にさせていただきます。
宛先:khanioka@nikkeibp.co.jp

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