2004.03.01

【連載:がんの治療成績を読む】 その1 治療成績を開示する元年に、施設間格差の解消に向けて

 本日から、本コラム「がんの治療成績を読む」を連載する。ほとんどの医師が「施設間の治療成績の差は歴然と存在する」と実感しているだろう。だが、どのような差があるのかは現状では明確ではない。患者にとっては、開示されている断片的な情報しか得ることができない。施設を選択する材料にするには到底不十分だ。結果的に、治療成績が有意に低い施設で、そうとは知らずに治療を受けている場合も多いと推測される。

 医療者にとっても、自分のいる施設の成績と他の施設あるいは全国の成績が分からなければ、自分たちの技量や進歩を知ることができない。

 4月からスタートする「第3次対がん10か年総合戦略」では、「がんの実態把握と情報・診療技術の発信・普及」が重要項目として入っている。

 また、「地域がん診療拠点病院(以下、がん拠点病院)の整備に関する指針」では、拠点病院の指定要件として「拠点病院で構成する全国的な協議会(全国地域がん診療拠点病院連絡協議会=未設置)にがん患者の5年生存率表等の情報を報告するなど、総合的ながん情報の収集提供に積極的に取り組むこと」とある。現在、全国に87カ所あり、今後、2倍程度に増えると予想されるがん拠点病院では、生存率開示が義務付けられる。

 現状では、ほとんどの病院では、がんの治療成績が病院内で一元的に管理されておらず、診療科目ごとに保管しているのが実情。今後、各施設が院内の治療情報を集約する「院内がん登録システム」は必須となり、がん拠点病院が連絡協議会を設置して全国的ながん登録システムが動き始めれば、全国の成績を把握できるようになる。個別施設、疾病、病期ごとに比較したデータも常時、開示されるようになるだろう。今年は、こうした動きが大きく前進する「癌治療成績開示元年」となる。

 これまで日本ではこうした癌の治療成績の把握が十分でなかった。成績の把握は、患者のためであるのは言うまでもなく、医療界、国民全体のためにも不可欠なことと言える。

 この連載では、1.癌治療成績の開示の現状を見ること、2.その問題点を抽出すること、3.今後の課題と解決策を探ること−−を考えていきたい。治療成績開示に関して、前向きで建設的な議論の高まりを期待しながら、続けていきたい。                       
(埴岡健一、日経メディカル

*随時掲載ですが、当面は毎日掲載する予定です。
*読者からの情報提供をお待ちしています。癌の治療成績に関するデータやご意見があれば、お寄せください。今後の連載の参考にさせていただきます。
宛先:khanioka@nikkeibp.co.jp

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