2004.02.27

「食物繊維の心臓病予防効果」めぐる疫学研究のメタ分析結果まとまる

 心臓病が多い欧米では、30年以上前から心臓病の予防に役立つ食物成分に関する研究が盛んに行われている。注目成分の一つである食物繊維に関しても、大規模なコホート追跡研究が複数行われているが、このほどこれらの研究に関するメタ分析結果がまとまり、Archives of Internal Medicine誌2月23日号で発表された。

 メタ分析は、複数の研究の参加者データを一つにまとめることで、小規模な研究では行いにくかったデータのばらつきの補正や、大筋の傾向をつかむ解析を行う研究手法。今回は、参加者数が150人以上で、食習慣などに関する詳細なデータが入手できた11研究(総参加者数:33万6244人)についてメタ分析を行った。

 その結果、年齢や体格指数(BMI)、1日摂取エネルギー、喫煙・飲酒の有無や他の食習慣などで補正を加えても、食物繊維の摂取量が多い人ほど心疾患や心疾患による死亡が少ないことが判明。1日に摂る食物繊維量が10g増えるごとに、心疾患は相対的に14%、心疾患死は27%減る計算になった。この効果に男女差はみられなかった。

 また、食物繊維にはペクチンなど可溶性のものとセルロースなど不溶性のものがあり、可溶性の食物繊維は小腸からの糖・脂質吸収を妨げることで、心疾患の危険因子である糖尿病や高脂血症の予防に役立つとされる。今回の分析でも、可溶性の食物繊維の方が、心疾患や心疾患死の予防効果が大きいとの結果になった(1日10g摂取増加による心疾患の相対リスク:0.72、心疾患死の相対リスク:0.46)。ただし、不溶性の食物繊維にも、機序は不明だが一定の予防効果が認められた(1日10g摂取増加による心疾患の相対リスク:0.90、心疾患死の相対リスク:0.80)。

 一方、食物繊維を穀物、野菜、果物のうちどれから摂取したかによる解析では、興味深い結果が得られた。果物や穀物由来の食物繊維は心疾患や心疾患死を減らすが、野菜由来の食物繊維には効果がないとの結果になったのだ。研究グループは、食物繊維を含む野菜にはトウモロコシやジャガイモなど炭水化物が多い(糖負荷が高い)ものが含まれており、その影響ではないかとみている。

 この論文のタイトルは、「Dietary Fiber and Risk of Coronary Heart Disease」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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