2004.02.13

【糖尿病学の進歩から】 治療を受けている人は、糖尿病が強く疑われる人の45%に過ぎない

 糖尿病は疫学的な観点からも経済学的な観点からも最も重要な疾患の一つである−−。こう切り出したのは、国立保健医療科学院の長谷川敏彦氏。「糖尿病診療の変革 疫学・医療経済より」と題して登壇し、治療を受けている人が糖尿病が強く疑われる人の45%に過ぎないという「膨大な未治療」に焦点を当て、疾病管理の必要性を訴えた。2月6日のレクチャーで講演した。

 長谷川氏はまず、糖尿病患者の推移を提示。栄養調査1990年、糖尿病実態調査1997、2002年のデータを元に、患者数の急増を指摘した。それによると、1990年は糖尿病が強く疑われる人が409万人だったが、1997年には690万人に、2002年には740万人に膨れ上がっている(図参照)。また、糖尿病の可能性を否定できない人は、1990年に366万人だったものが、1997年には680万人、2002人には880万人とこちらも急増している。



 「大きな課題は膨大な未治療」。長谷川氏は何度も「未治療問題」を警告した。2002年患者調査によると糖尿病の治療を受けている人は230万人。同じ年の糖尿病実態調査では糖尿病が強く疑われる人が740万人で、半数以上の人が治療を受けていないことになる。

 懸念されるのは、未治療の患者が、視神経や腎・血管疾患などを合併したり、あるいは脳卒中や虚血性心疾患を発症するリスクが高いことだ。

 確かに新たな医療費も発生する。長谷川氏によれば、糖尿病治療費は、直接の医療費だけで2001年には1.2兆円使っている。未治療のうち糖尿病を強く疑われる患者の治療には2.2兆円、可能性のある患者には4.2兆円が必要になる計算だ。

 ただし長谷川氏は、未治療に必要な医療費には「合併症や脳卒中、心疾患などの高医療費疾患を予防する投資という観点からの評価が必要」であると指摘。持論である「疾病管理アプローチ」を強調し講演を締めくくった。(三和護)

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