2004.02.04

200ナノリットルの血液で血糖値測定できる検査用チップ、産官学連携で製品化へ

 既存製品の数分の1から数十分の1の200 nl(ナノリットル)という微量な血液で安定に血糖値を測定できる検査用チップの開発が産官学連携で進められている。順調に行けば2005年春にも商品化される見通しだ。東京工科大学と独立行政法人の産業技術総合研究所、住友電気工業の3者が2月3日に発表した。

 新たに開発するチップの最大の特徴は、1回のプロセスで製造できる点にある。従来のチップは印刷、型抜き、積層など3〜4プロセスが必要で、コストや特性安定化に問題があった。測定に要する血液量を減らすためには、少量の血液を安定して一定量だけ導入する回路が必要だが、複数プロセス方式では工程を重ねるたびにずれが加わるため、誤差が大きくなるという問題点があった。

 1プロセス方式の採用で、既存の測定チップでは0.6〜10μlだった必要血液量を世界最小の200nlに抑えることができた。血液量を減らすことで、1年間に500〜700回も測定が必要な糖尿病患者の苦痛を軽減できる。測定は電気化学的な方式で、計測時間は15秒程度だという。

 価格も安くなった。既存チップの販売価格は200円程度だが、新チップでは国内価格が100円程度になる見通しだ。開発を指揮している東京工科大学バイオニクス学部長の軽部征夫氏は、「糖尿病治療に要するコストの3分の1を血糖測定用センサーが占め、糖尿病患者数の急増によって年率10%以上の成長が見込まれる。有望市場であると同時に新チップ投入による医療費削減効果も高い」という。

 開発グループでは、1プロセスによるチップ製造という基本特許を取得できる見通しとしており、今後、DNAチップ、プロテインチップ、各種センサーなど幅広い応用が期待できるとしている。(中沢真也)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 50歳男性、夜中の意識障害、痙攣 日経メディクイズ●心電図 FBシェア数:0
  2. 85歳の癌患者に標準治療を行いますか? リポート◎高齢癌患者の治療適否は予後とQOLへの影響で判断 FBシェア数:118
  3. 食べられない高齢者にはこう介入する Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:128
  4. ズバリ!up to date問題の出題のヤマはこ… 総合内科専門医試験 「一発合格」への道 FBシェア数:37
  5. 「学会の指針を転載したら金を払え」は正当か 弁護医師・田邉昇の『医と法の視点』 FBシェア数:65
  6. 幻のダイヤモンド聴診器 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:8
  7. 医療保険より100倍マシ! 学資保険の選び方 Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:19
  8. その図表、そんなタイトルじゃ伝わりませんよ 英文校正者が教える医学論文執筆の極意 FBシェア数:26
  9. 麻疹の1例目はブラリとやってくる 学会トピック◎第92回日本感染症学会・第66回日本化学療法学会 FBシェア数:334
  10. 大阪北部で地震発生! 救急医の1日 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:159
医師と医学研究者におすすめの英文校正