2004.01.30

【解説】 決算で窓口現金の不足が判明、 “真犯人”は別にいる?

 確定申告のスタートを間近に控え、個人のクリニックではそろそろ申告の準備を始めている頃だろう。今回の申告は、昨年4月に被用者保険本人の自己負担が3割に引き上げられてから最初のものだ。窓口で取り扱う現金の額が増えた分だけ、帳簿と合わない不足金額も増加している医療機関もが少なくないのではないだろうか。

 実際、事務職員が窓口で患者から受け取った現金を、自分の懐に入れてしまうケースは珍しくないようだ。「ある診療所で、職員が自分の交通費の分だけ、毎月、窓口収入から抜いていた例があった」と、近畿地方のコンサルタントは言う。九州のあるコンサルタントも、「病院では、時間外に受診した患者の自己負担や診断書などの文書料が、不正の温床になりやすい」と指摘する。それぞれ職員が少なく管理の目が行き届かない、レセプトと無関係なためチェックしづらいという特徴があるからだ。

 しかし、帳簿と現金が毎日ぴったり合っているのもまた問題だ。まったく過不足が生じないのを不信に思って調べたら、事務職員が空き缶を用意してお金が余った時はその缶に入れ、足りない時にはそこから出して帳尻を合わせていた――というケースもあるという。

 このように、多くの場合事務職員が窓口の現金不足に直接かかわっているわけだが、実は“真犯人”は別にいると言ってもいい。

 それは院長自身だ。昼食や床屋などに行くためちょっと外出する際、「手元不如意」だと、つい診療所のお金を持ち出してしまいがちになる。これが窓口で患者から受け取った現金は「公金」だという職員の意識を薄れさせ、結果的に先に述べたような不正行為につながりかねないというわけだ。

 決算で窓口現金を締める際、あまりに不足額が多額に上る病院や診療所は、日頃の経営者の行動を振り返ってみる必要がありそうだ。
(井上俊明、日経ヘルスケア21編集委員)

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