2004.01.30

【専門記者の目】 高血圧対策トクホが、ドラッグストアに相次ぎ登場 さらに3社が、トクホを申請中

 ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害作用をもつ食品成分を配合し、厚生労働省のトクホ(特定保健用食品)を取得した高血圧対策のサプリメントやドリンクが増えている。

 ACE阻害作用をもつ食品成分はいずれもペプチド。ACE阻害薬と呼ばれる高血圧の治療薬と同じメカニズムで高い血圧を抑制する。

 具体的には、アンジオテンシン2という成分が体内で生成されると血圧が高くなるが、これを作るときに必要なのがACEと呼ばれる酵素で、このACEの働きを阻害することで、血圧が高くならないようにする。

 ACE阻害作用をもつペプチドの原料は、牛乳、カツオ、イワシ、キノコ、ワカメ、ノリ、ゴマなど多岐にわたる(商品化予定のものも含む)。

 最近発売された2商品を紹介しよう。

 日清オイリオは2004年1月19日に、「血圧が高めの方に適する」という表示をしたトクホのサプリメント「マリンペプチド」を発売。1包4粒×10包入り(10日分相当)、1800円と、1包4粒×30包入り(30日分相当)、5000円。2004年度の販売目標は1億円。

 佐藤製薬は2004年1月6日に、同じくサプリメントメントタイプのトクホ「サトウマリンスーパーP」を発売した。1包4粒×30包入り(30日分相当)、5400円。

 2商品とも、サーデンペプチドと呼ばれるACE阻害ペプチドを配合。イワシのたんぱく質を酵素で分解して作る成分で、仙味エキス(愛媛県)が開発・生産している。

 また、2商品とも粒タイプなのでオフィスや旅行に持ち運びやすく、のみ続けることも、ドリンクタイプよりラクだ。

 また、これら2商品は薬局・薬店で販売される。

 実は、トクホのサプリメントが薬局・薬店の棚に並ぶのは、これらの商品が初めて。 

 というのも、かつてトクホでは、粒や錠、カプセルといった形状は、医薬品と間違えやすいとの理由から、認められなかった。

 2001年4月から、粒や錠、カプセルでもトクホ表示が可能になり、2001年11月にサプリメント・トクホの第1号が誕生した。日本サプリメントの「ペプチドACE3000」という粒状のサプリメントだ。

 ただし、ペプチドACE3000は通信販売向け商品のため、店頭では販売されていなかったため、今回の2商品が高血圧対策トクホ・サプリメントとして、初の店頭商品になる。

 サーデンペプチドを配合したサプリメントタイプのトクホは、小林製薬と常盤薬品工業も表示許可を2003年秋に取得済み。近く、商品を発売するとみられる。

 なお、ACE阻害ペプチドを配合した高血圧対策トクホは、すでに6社が発売している。

 最もよく知られているのが、カルピスの「アミールS」だ。瓶入りドリンクとタブレット状の菓子の2種類があり、牛乳の乳清に含まれるたんぱく質を分解して作ったラクトトリペプチドを主成分にしている。

 また、日本サプリメントの「ペプチド」シリーズは4種類あり、粉末茶タイプ、顆粒食品タイプ、粉末スープ、錠剤タイプがある。主成分は、カツオからつくるかつお節を酵素で分解した、かつお節ペプチド。

 このかつお節ペプチドは、かつお節大手のヤマキが製造しており、ヤマキもこのペプチドを配合したフイーズドライみそ汁「ペプチドおみそ汁」をトクホとして商品化している。

 カネボウの「カゼインDPペプティオドリンク」はドリンクタイプで、牛乳のたんぱく質であるカゼインを分解して作るカゼインドデカペプチドが主成分だ。

 常盤薬品工業の「ラピスサポートα」は、ドリンクタイプで、イワシからつくるサーデンペプチドが主成分。

 サーデンペプチドを開発した仙味エキスも、このペプチドを配合したドリンクタイプのトクホ「エスピーマリン」を発売している。

 ACEは、アンジオテンシン1というペプチドの特定の部位を切断して、強力な血圧上昇作用をもつアンジオテンシン2を生成させる。

 ACEの持つ活性部位(アクティブサイト)に、アンジオテンシン1が入り込み、活性部位にある“はさみ”によってアンジオテンシン1は切断される。

 ACE阻害ペプチドは、このACEの活性部位に入り込むが、この“はさみ”では切断されにくいという性質をもつ。

 さまざまな食品に含まれるたんぱく質を酵素で分解すると、それぞれ膨大な種類のペプチドができる。

 この各種ペプチドを調べていけば、ACEを阻害する性質が強いペプチドを探し出すことができる。こうして選ばれたペプチドが、高い血圧を下げるトクホとして商品化またはトクホ申請されている。

 いろいろなたんぱく質について、ACE阻害活性の強いペプチド素材が日本で活発に研究された結果、ACE阻害ペプチドの原料の幅が一気に広がってきた。

 今後、トクホ商品の発売が見込まれるACE阻害ペプチドは以下の通り。

1)未発売だが、ブナハリタケというキノコから抽出したソロイシルチロシンというACE阻害ペプチドを主成分とする清涼飲料「ビー・フラット」のトクホ表示許可を、キリンビバレッジが2003年6月に取得ずみ。

2)ワカメ・ペプチドを主成分とする高血圧対策品は、理研ビタミンが2002年秋にトクホ申請している。

3)ノリ・オリゴペプチドを主成分とする高血圧対策の顆粒状食品「毎日海菜 海苔ペプチド」は、白子のりが2002年にトクホ申請している。

4)ゴマから抽出したゴマペプチドを主成分とする飲料「ゴマペプ茶」は、2003年末にサントリーがトクホ申請している。ゴマペプチドは、丸善製薬が日清食品の特許を基に事業化を進めている食品素材だ。

 これらトクホ申請中の商品は、早ければ半年以内にトクホ表示の許可を取得する見込みで、商品が次々に発売されそうだ。(河田孝雄)


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