2004.01.28

AHAとNHLBI、メタボリック・シンドロームの定義に関する共同見解を発表

 米国心臓協会(AHA)と米国国立心肺血液研究所(NHLBI)は1月27日、定義上の混乱がみられる「メタボリック・シンドローム」(代謝異常症候群)に関し、米国コレステロール教育プログラム(NCEP)の成人治療パネル3(ATP3)で提示された診断基準が、心血管疾患(CVD)ハイリスク者のスクリーニングにおいて最も実用的(practical)とする共同見解を発表した。この見解は、AHAの学術誌であるCirculation誌1月27日号に掲載された。

 メタボリック・シンドロームは、CVD患者にしばしばみられる「危険因子の集積」(cluster)に着目した危険因子概念。1988年に提唱されたもので、「シンドロームX」や「インスリン抵抗性症候群」との用語も使われる。

 メタボリック・シンドロームの診断基準を最初に定義したのは世界保健機関(WHO)で、1998年のことだった(1999年に一部改訂)。しかしその後、2002年にNCEPがATP3を発表した際、WHOとは別の診断基準を提唱。2003年には米国臨床内分泌医協会(AACE)が、「インスリン抵抗性症候群」との用語を用いて別の診断基準を発表し、三つの定義が乱立する状態となっていた。

 ちなみに、ATP3におけるメタボリック・シンドロームの診断基準は、1.腹部肥満(腹部周囲径:男性102cm超、女性88cm超)、2.トリグリセリド値(150mg/dl以上)、3.高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール低値(男性40mg/dl未満、女性50mg/dl未満)、3.高血圧(130/85mmHg以上)、5.空腹時高血糖(110mg/dl以上)−−の五つのうち三つ以上を満たすというもの。三つの定義の中では最も計測が容易なものとなっている。

 一方のWHO基準は、インスリン抵抗性(2型糖尿病または空腹時高血糖、耐糖能異常)があり、1.高血圧(140/90mmHg以上または降圧薬服用)、2.トリグリセリド高値(150mg/dl以上)、3.HDLコレステロール低値(男性35mg/dl未満、女性39mg/dl未満)、4.体格指数(BMI)30超またはウエスト・ヒップ比高値(男性0.9超、女性0.85超)、5.尿アルブミン排泄が20μg/分以上またはアルブミン・クレアチニン比が30mg/g以上−−の五つのうち二つ以上を満たすというもの。メタボリック・シンドロームを、CVDというより糖尿病の危険因子として位置付けている。

 最新のAACE基準は、WHO基準とATP3基準の折衷のような形。1.肥満・過体重(BMIが25以上)、2.トリグリセリド高値(150mg/dl以上)、3.HDLコレステロール低値(男性40mg/dl未満、女性50mg/dl未満)、4.血圧上昇(130/85mmHg以上)、5.耐糖能異常(経口糖負荷試験=OGTTの2時間値が140mg/dl超)、6.空腹時高血糖(110mg/dl以上)、7.その他の危険因子(2型糖尿病や高血圧、CVDの家族歴、運動不足、高齢など)−−の七つのうちいくつかを持つ人に対し、臨床的な判断(clinical judgment)で診断するよう求めるものだ。

 AHAとNHLBIの共同見解では、三つの診断基準のうち唯一、OGTTを要しないATP3基準が、CVDのハイリスク患者同定において最も実用的なツールになると結論。介入は、減量を主軸とする生活習慣改善指導が第一選択になり、インスリン抵抗性改善薬にも期待は持てるが、現時点ではCVD発症予防に対するエビデンスが不足しているとしている。

 この見解のタイトルは、「Definition of Metabolic Syndrome: Report of the National Heart, Lung, and Blood Institute/American Heart Association Conference on Scientific Issues Related to Definition」。現在、こちらで全文を閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

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