2004.01.27

【疫学会速報】 インフルエンザワクチン1回接種の高齢者、シーズン内に抗体価低下目立つ

 せっかくインフルエンザワクチンを接種してもそのシーズン中に抗体価が落ちてしまい、十分な免疫を確保できなくなる場合があることが、高齢者を対象とした調査で明らかになった。ワクチンの有効性や接種方法について大きな問題点を提起したと言えそうだ。厚生労働省の班研究「インフルエンザ予防接種のEBMに基づく政策評価に関する研究」の一部成果として、1月22日のポスターセッション「感染症」で東京女子医科大学衛生学公衆衛生学教室の小島原典子氏(写真)が発表した。

 小島原氏らの研究グループは、東京都内の精神病院に入院中の50歳以上の152人に対して、2002年12月1日から2003年3月31日まで、インフルエンザ様症状を観察した。対象患者のうち、本人が希望した90人(55.6%)に対し、観察期間に入る前の11月初旬にインフルエンザワクチンを1回接種した。対象者のうち、文書による同意がとれた57人に対し、シーズン前(12月)とシーズン終了期(3月末)に抗体価を測定した。

 観察期間中、インフルエンザ様症状を呈した患者に対してはインフルエンザA、B型の迅速診断を実施した。観察期間中28例に症状が見られたが、診断結果は全例で陰性だった。

 シーズン前後の抗体価を比較したところ、ワクチン接種群では、シーズン前の抗体価が40倍以上だった対象者が、Aソ連型(H1N1)では12月に約74%だったのに対し、3月末には48.6%に減った。B型では12月時点でも約29%と少なく、3月末には約11%に減った。これに対してA香港型(H3N2)では、12月に約97%だったのが3月末にも約94%とほとんど減少しなかったという。

 高齢者の場合、少なくとも1回接種ではシーズン期間中、十分な免疫を維持できない可能性が示唆されたわけで、2回接種を含め、抗体価の増強・維持に必要な手段を検討する必要性がありそうだ。(中沢真也)

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