2004.01.26

【専門記者の目】 大塚製薬、乳飲料「ネムー」を2カ月遅れで11月11日発売 発売延期の理由を推測してみると…

 ニュートラシューティカルズ(効能を期待できる食品)分野の事業展開に力を入れる大塚製薬は、「くつろぎタイムの乳飲料 nemu(ネムー)」を11月11日に発売すると、10月27日付けニュースリリースで発表した。

 夜間に搾乳すると、牛乳の中に脳の松果体(しょうかたい)から睡眠時に分泌されるホルモンであるメラトニンを通常より多く含む。この生乳を原料にした、眠りを誘う新タイプの乳飲料がネムーだ。特殊な光条件の環境下で、生乳を夜間に搾るという“夜間搾乳”の技術をもつフィンランドのナイトミルク社と提携し、商品化を進めてきた。

 ネムーは当初、9月9日に発売すると8月19日に発表したが、発売予定日前日の9月8日に急きょ、発売延期を発表していた。この間、何があったのだろうか。

 10月27日付けのニュースリリースを、8月19日付けのニュースリリースと比べることで、推測してみよう。

1)「おやすみ乳飲料」を「くつろぎタイムの乳飲料」に変更

 8月19日付けでは、「日本人の5人に1人が眠りについての悩みを持っていることが報告されている」「不規則な生活を送っている人、寝つきの悪い人、熟睡したい人にリラックスタイムを提案」と解説していたが、10月27日付けでは「多忙で不規則な生活を送っている方のために、おやすみ前のゆったりとしたリラクゼーションタイムを提案」という表現に変わった。

2)「メラトニン」という物質名とその解説文が丸ごと消滅

 8月19日付けでは、間接的な表現だが、新商品がメラトニンを多く含むことを匂わせる説明をするとともに、メラトニンについて次の旨の説明文をつけていた。「メラトニンは、脳の松果体から睡眠時に分泌されるホルモン。脳の松果体は、目と直接つながっており、目が闇(やみ)を感じると、メラトニンの生成、分泌が始まる。松果体からメラトニンが血液中に分泌すると、脈拍の低下、消化機能の低下、体温や血圧の低下などの変化があり、睡眠に適した状態になる」。

 ところが10月27日付けでは、メラトニンという名称も、その説明も一切、表現されていない。

 1)と2)のいずれの点も、食品で効果効能を標榜してはならないとする薬事法や、一般消費者に誤認されるおそれがある表示を取り締まる景品表示法などの規制によると推察できる。

 メラトニンは米国では、時差ボケなどに利用される一般的なサプリメントだが、日本ではサプリメント(食品)として一般への販売はできず、食薬区分で医薬品扱いになっている。このため、食品そのものに含まれていても、そのことを表示・説明することはできない状況にある。(河田孝雄)

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.9.19 大塚製薬、夜間搾乳の乳飲料「nemu(ネムー)」発売を延期
◆ 2003.8.21 寝つきが良くなる? 牛の“夜乳”使った乳飲料が9月発売

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