2004.01.23

【再掲】NSCLCへの術後化学療法の有用性示した「IALT」試験がNEJM誌に掲載

 非小細胞肺癌(NSCLC)に対する術後(アジュバント)化学療法の有用性を初めて実証、昨年6月の米国臨床癌学会(ASCO)で大きな注目を集めた「IALT」(International Adjuvant Lung Cancer Trial)試験(関連トピックス参照)が、New England Journal of Medicine誌1月22日号に掲載された。白金系とアルカロイド系抗癌薬の術後投与で、5年生存率が絶対値で4.1%、有意に上昇した。乳癌や大腸癌、胃癌などでは術後化学療法の有用性が示されているが、肺癌への有用性を示した研究が論文化されるのは初めてだ。

 対象は、手術で腫瘍を完全切除できた、病期1〜3のNSCLC患者1867人。臨床試験には日本を含む世界33カ国から148施設が参加、日本からは9人が登録された。研究グループは、対象患者を各施設内で無作為に2群に分け、一方のみに白金べースの化学療法を3〜4サイクル実施した。

 対象患者の平均年齢は59歳、8割が男性。病理学的な病期は36.5%がpステージ1、24.2%がpステージ2、39.3%がpステージ3だった。術後化学療法のレジメンは、シスプラチン(わが国での商品名:ブリプラチン、ランダなど)にアルカロイド系抗癌薬をもう1剤追加するというもの。併用されたアルカロイド系薬は、エトポシド(同:ペプシド、ラステッド)が56.5%と最も多く、次いでビノレルビン(同:ナベルビン)が26.8%、ビンブラスチン(同:エクザール)が11.0%、ビンデシン(同:フィルデシン)が5.8%。

 また、施設によっては術後に放射線療法を実施しており、全体の3割の患者に放射線照射が予定されていた。予定実施率にはリンパ節転移の有無や範囲(Nステージ)による差があり、pN0の1.9%、pN1の33.7%、pN2の64.3%に放射線照射が計画されていた。ただし、実際の実施率は術後化学療法群で予定患者の70.4%と、経過観察群の84.2%より有意に低かった。追跡期間の中央値は56カ月。

 その結果、術後化学療法群(932人)の5年生存率は44.5%と、経過観察群(935人)の40.4%より有意に高いことが判明(ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.76〜0.98)。5年無病生存率も同様に、39.4%対34.3%となり、有意な差が付いた(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.74〜0.94)。なお、術後化学療法群では7人(0.8%)が、化学療法の副作用により死亡。グレード4の副作用も22.6%が経験した。

 以上から研究グループは、メタ分析で示唆されていた「NSCLCへの術後化学療法」の有用性が、介入試験で初めて実証できたと結論。論文に対する論説では、NSCLCへの術後化学療法が「新しい標準治療」(New Standard of Care)になると評価する一方、ステージ3A、あるいはより早期のNSCLCに対する術前(インダクション)化学療法や、放射線療法の併用も含めた、総合的な化学療法の位置付けに向け検証を続けるべきと論じている。

 この論文のタイトルは、「Cisplatin-Based Adjuvant Chemotherapy in Patients with Completely Resected Non?Small-Cell Lung Cancer」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆2003.6.5 非小細胞肺癌の術後化学療法が延命・治癒率を向上、大規模無作為化試験結果が報告−−プレナリーセッションより

■ 訂正 ■
 記事中「ビンカアルカロイド」との記載がありましたが、「アルカロイド」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。(三和護、MedWave編集長)

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