2004.01.21

USPSTFが甲状腺疾患スクリーニングに対する判断を保留

 米国予防医療専門委員会(USPSTF)は1月20日、無症状の甲状腺疾患に対する外来スクリーニングに対するガイドラインを発表した。甲状腺刺激ホルモン(TSH)値などを調べれば無症候性甲状腺疾患を発見できるが、そうした「スクリーニングで見付かった甲状腺疾患」に対し、治療のメリットがあるかを判断するだけのエビデンスは揃っていないと結論。スクリーニング検査の有益性と有害性のバランスは、現時点では判断できないとした。ガイドラインの全文と、根拠となった研究の解析結果は、Annals of Internal Medicine誌1月20日号に掲載された。

 USPSTFは、米国厚生省(HHS)の下部組織、Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ:医療分野の研究と質向上を支援する部門)の諮問機関。生活習慣病を中心とする各種疾患について、主に外来受診者を対象としたスクリーニング検査の可否や手法に関するガイドラインを作成している。

 血中の甲状腺ホルモン値は正常範囲である(甲状腺疾患に特有の症状は現れない)が、TSH値が低い、あるいは高い状態は無症候性甲状腺疾患と呼ばれ、米国では女性の5%、男性の3%がこの状態にあるとされる。また、高齢者や分娩後女性、放射線治療を受けた人やダウン症候群の人では、無症候性甲状腺疾患への罹患率が高いことが知られている。TSH値を調べれば、高感度(98%)、高特異度(92%)で無症候性甲状腺疾患をスクリーニングできる。

 しかし、そうした無症状の段階からの治療に関する臨床試験は行われておらず、害と益のバランスを判断するだけのエビデンスは不十分だとUSPSTFは結論。甲状腺機能低下症に関しては、疫学研究で、無症候の段階からの治療が有症候性の機能低下症の発症予防につながる可能性が示唆されているが、その場合「女性1000人をスクリーニングすることで5年間で3人の発症を防げるが、40人がメリットの見えない治療を5年受けることになる」と指摘している。

 このガイドラインのタイトルは、「Screening for Thyroid Disease: Recommendation Statement」。根拠となった網羅的レビューのタイトルは、「Screening for Subclinical Thyroid Dysfunction in Nonpregnant Adults: A Summary of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force」。いずれも、Annals of Internal Medicine誌ホームページ上で有償公開されている。なお、AHRQホームページ上の「Screening for Thyroid Disease」からは、両論文が無償でダウンロードできる。(内山郁子)

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