2004.01.21

サプリメントによるビタミンDの摂取量、MSの発症率と相関−−NHS研究より

 米国の代表的な女性コホートである、Nurses' Health Study(NHS)の参加者データの解析から、サプリメントによるビタミンDの摂取量と多発性硬化症(MS)の発症率に相関があることがわかった。一方、食事からのビタミンDの摂取量や出生地の緯度と、MS発症率との間に関連は認められなかったという。研究結果は、Neurology誌1月13日号に掲載された。

 対象は、2回のNHS研究に参加した女性看護師のうち、サプリメントや食事摂取などに関するデータが揃っていた18万7563人。最長20年の追跡期間中、173人がMSを発症した。研究グループは、サプリメントなどによるビタミンD摂取量などと、MS発症率との関連を調べた。

 その結果、サプリメントとしてビタミンDを1日400国際単位(IU)以上摂取している人では、年齢や喫煙歴、出生地の緯度で補正後も、ビタミンD含有サプリメントを飲んでいない人よりMSの発症率が4割低いことが判明(相対リスク:0.58、95%信頼区間:0.35〜0.96)。一方、サプリメントとしてのビタミンD摂取量が1日400IU未満の人では、MS発症率は非摂取者と変わらなかった(相対リスク:0.99、95%信頼区間:0.70〜1.40)。

 次に研究グループは、食事からのビタミンD摂取量とMS発症率との関連を、摂取量で5群に分けて調べた。すると、摂取量が最も多い群で発症率がやや減る傾向が認められた(有意差なし)程度で、明確な関連はないことが判明。食事とサプリメントを併せての総合ビタミンD摂取量でも同様に、明確な関連は認められなかった。

 MSの発症率は北欧など高緯度地域で高いことが知られており、ビタミンDの関与(出生後早期の日照量との関連)が示唆されていたが、大規模な前向きコホート研究で関連が示されたのは初めて。ちなみに、MSの疾患モデルマウス(抗原接種による自己免疫性脳脊髄炎、EAE)を用いた動物実験では、ビタミンD不足でEAEの発症が早まり、抗原接種前のビタミンD投与で発症が防げることが示されている。

 なぜサプリメントという形でのビタミンD摂取にのみ発症抑制効果が示唆されたかについては不明で、今後の検証が待たれるが、今回得られたデータは、現時点では対症療法しかないMSに対する有望な予防策として注目を集めそうだ。

 この論文のタイトルは、「Vitamin D intake and incidence of multiple sclerosis」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.10.14 日本骨粗鬆症学会速報】日本人女性の半数はビタミンD不足、厚生労働科学研究が示唆

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