2004.01.20

踵骨の超音波測定値が骨折リスクを反映−−EPIC-Norfolk研究より

 中高年男女1万5000人を前向きに追跡した英国のコホート研究から、かかとの骨の硬さをエコーで評価する「超音波骨量測定法」が、骨折リスクの予測に役立つことがわかった。同様の研究は日本でも行われているが(関連トピックス参照)、男性も含めた大規模コホート研究結果が国際的なジャーナルに発表されるのは初めて。研究結果は、Lancet誌1月17日号に掲載された。

 この研究は、癌や慢性疾患と食生活などとの関係を調べる欧州10カ国の大規模共同コホート研究、EPIC(European Prospective Investigation into Cancer)の一環として行われたもの。英国Norfolkに住む42〜82歳の男女を対象とした。研究グループは、第2回調査(1997〜2000年に実施)時に受診した1万4824人に対し、踵骨の超音波骨強度測定を行い、2001年中頃までにカルテで確認が取れた「入院を要する骨折」の発生との関連を調べた。

 対象者の平均年齢は、男性(6485人)が63歳、女性(8339人)が62歳。男性の6%、女性の7%に、成人後の骨折の既往があった。現喫煙率は男性が10%、女性が9%。女性の2割はホルモン補充療法を受けていた。

 平均1.9年の追跡期間中、121人が骨折で入院したことが判明。広帯域超音波減衰係数(BUA、超音波が骨を透過する際の減衰率を水と比較した係数)、超音波伝播速度(SOS、VOSとも。骨幅を超音波透過時間で除したもの)のいずれも、男性の方が女性より測定値が大きかったが、男女ともに骨折リスクとの相関が認められた。性別、年齢などを含めた多変量解析では、BUAが1標準偏差低下するごとに骨折リスクが1.95倍(95%信頼区間:1.50〜2.52)、SOSでは1.63倍(同:1.34〜1.99)、有意に増えるとの計算になった。

 サブグループ解析からは、BUAが年齢や性別、喫煙歴、骨折の既往などによらず、入院を要する骨折を予測し得ることがわかった。この予測能は、骨折の部位(大腿骨頚部かそれ以外か)には左右されなかった。また、一般に男性より女性の方が骨折リスクが高いが、この「性別による骨折リスクの違い」は、大部分がBUAの違いで説明できることも明らかになった。

 評価指標が「カルテで確認された入院を要する骨折」か「自記式質問票による検診後の骨折」かという違いはあるが、今回得られたデータは、日本骨粗鬆症学会「骨強度測定機器の評価と臨床応用に関する委員会」のデータ(男性1200人・女性3789人、平均追跡期間5年)とほぼ同じ傾向を示している。海外研究でも超音波踵骨測定の骨折予測における有用性が確かめられたわけで、測定装置の今後の普及に弾みが付きそうだ。

 この論文のタイトルは、「Prediction of total and hip fracture risk in men and women by quantitative ultrasound of the calcaneus: EPIC-Norfolk prospective population study」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.10.10 日本骨粗鬆症学会速報】超音波骨量測定は骨折ハイリスク者スクリーニングに有用、多施設追跡研究で判明

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