2004.01.19

パクリタキセル溶出ステントの大規模試験「TAXUS4」、原著論文がNEJM誌に掲載

 抗癌薬のパクリタキセル(商品名:タキソール)を溶出するステントを用いた米国の大規模試験「TAXUS4」の原著論文が、New England Journal of Medicine誌1月15日号に掲載された。大規模試験結果が発表された薬剤溶出ステントは、シロリムス溶出ステント(関連トピックス参照)に続き二つ目。一次評価項目である「9カ月後の標的血管の再灌流率」(TVR)は、パクリタキセル溶出ステントで普通のステント(ベアステント)より6割、有意に抑制されることがわかった。

 試験の対象は、狭心症や心筋虚血があり、介入対象冠動脈に対する初回の再灌流療法が予定されていて、介入対象病変長が10〜28mm、血管径が2.5〜3.75mmの患者1314人。平均年齢は62歳、7割が男性で、高血圧は7割、糖尿病は3割、高脂血症は65%が合併している。3割に心筋梗塞の既往があり、介入病変のある冠動脈径は平均2.75mm、病変長は平均13.4mmだった。この患者背景には、「SIRIUS」試験と大きな違いは認められない。

 一次評価項目の、施術後9カ月間の「虚血によるTVR」施行率は、パクリタキセル溶出ステント群(662人)が4.7%で、ベアステント群(652人)の12.0%より有意に低いことが判明(相対リスク:0.39、95%信頼区間:0.26〜0.59)。標的領域の再灌流(TLR)施行率も、3.0%対11.3%とパクリタキセル溶出ステント群で有意に低かった(相対リスク:0.27、95%信頼区間:0.16〜0.43)。9カ月後の再狭窄率にも有意な差があった(7.9%対26.6%、相対リスク:0.30、95%信頼区間:0.19〜0.46)。

 一方、9カ月後の累積心死亡率(心血管疾患または心筋梗塞による死亡)は、パクリタキセル溶出ステント群で4.3%、ベアステント群で4.7%となり、ほとんど変わらなかった。ステント内閉塞発生率も、0.8%対0.6%で、ほぼ同じだった。

 今回の試験結果が示すのは、パクリタキセル溶出ステントも、シロリムス溶出ステントと同じくらい、ステント留置後の再狭窄を抑制する効果を持つということ。ただし、どちらのステントが優れるかは、評価項目の差などもあり単純な比較は難しく、「直接対決」が待たれる。

 シロリムス溶出ステントは既に欧米で市販されており、パクリタキセル溶出ステントは欧州で市販、米国では承認審査中の段階。日本では、シロリムス溶出ステントが「承認審査中」(ジョンソン・エンド・ジョンソン広報部)だが、パクリタキセル溶出ステントは「開発段階は公表していない」(ボストン・サイエンティフィック広報部)とのことだ。いずれにせよ、近い将来にこうした薬剤溶出ステントがわが国でも使えるようになることを鑑みると、比較データや安全性(関連トピックス参照)などの海外動向に一層の注目が集まるだろう。

 この論文のタイトルは、「A Polymer-Based, Paclitaxel-Eluting Stent in Patients with Coronary Artery Disease」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.10.3 薬剤溶出ステントの大規模試験「SIRIUS」が待望の論文化、患者背景に拠らず再狭窄を抑制
◆ 2003.11.28 FDAがシロリムス溶出ステント「CYPHER」副作用情報を更新

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