2004.01.14

ADAが2004年版の糖尿病診療リコメンデーション集を発表

 米国糖尿病協会(ADA)は、2004年版の糖尿病診療リコメンデーション集を発表した。前年版との大きな違いは、昨年10月に改訂された、“糖尿病前症”(pre-diabetes)の新診断基準を織り込んだこと。血糖の「より厳格な管理目標」としてヘモグロビンA1c(HbA1c)6%未満を挙げたことや、40歳以上の糖尿病患者で総コレステロール値が135mg/dl以上の場合、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値によらずスタチン系薬投与を推奨した点も、大きな変更点となった。新リコメンデーションは、このほど発行されたDiabetes Care誌の追補版(Supplement)に掲載された。

 糖尿病の病型分類や診断基準に関しては、昨年10月末に1997年ガイドラインの改訂版が発表(Diabetes Care;26,3160,2003)。分類(1型、2型、その他、妊娠糖尿病の4分類)や診断基準(1.糖尿病症状かつ随時血糖値200mg/dl以上、2.空腹時血糖値が126mg/dl以上、3.75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間値が200mg/dl以上−−の三つのうち一つ以上を2回の検査で満たす)に変更はないが、糖尿病予備軍に相当する「空腹時高血糖」(IFG)の診断基準が引き下げられた。

 IFGの新診断基準は、空腹時血糖値が100(旧基準:110)〜125mg/dlというもの。もう一つの“予備軍”である「耐糖能異常」(IGT)の診断基準は従来通り、75gOGTT2時間値が140〜199mg/dlのままだ。改訂ガイドラインでは、このIFGとIGTを、新たに糖尿病前症と定義、この段階からの介入が将来の糖尿病発症リスクを減らすと強調している。

 血糖コントロールの目標値は、随時血糖値が90〜130mg/dl、食後血糖値(食後1〜2時間)が180mg/dl未満。HbA1cでは7%未満に相当するが、新勧告では「より厳格な管理目標」として6%未満を考慮してもよいとした。

 糖尿病患者の血清脂質管理に関しては、「HPS」(Heart Protecition Study)研究のサブ解析結果(関連トピックス参照)などが反映。40歳以上で総コレステロール値が135mg/dl以上なら、LDL値によらずスタチン治療を開始すべきとした。

 血圧の管理目標値は、従来と同じ130/80mmHg未満。昨年の改訂通り、「ALLHAT」(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)研究の最終結果(関連トピックス参照)を受け、α遮断薬を除く5種類の降圧薬を、初期治療薬として一律に推奨している(関連トピックス参照)。

 このほか、糖尿病性網膜症の低リスク者に対するスクリーニング検査間隔の拡大や、末梢動脈硬化症のスクリーニングなどに関する新たな勧告が、2004年版の新リコメンデーション集に盛り込まれている。このリコメンデーション集は、現在、全文をDiabetes Care誌追補版ホームページからダウンロードできる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.6.17 スタチンが糖尿病患者の心血管疾患も予防−−HPS研究サブ解析より
◆ 2002.12.18 「利尿薬はACE阻害薬、Ca拮抗薬に勝る」−−NHLBIが「ALLHAT」研究結果を発表
◆ 2003.11.5 日本高血圧学会速報】糖尿病合併高血圧における降圧薬の選択、「最初の1剤」巡り議論−−DEBATEセッションより

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