2004.01.13

山口県の養鶏場で高病原性トリインフルエンザ発生、国内では79年ぶり

 農林水産省は1月12日、山口県の養鶏場(採卵鶏農場)でトリインフルエンザの発生があったと発表した。国内では1925年以来、79年ぶりの発生となる。

 発生したのは、山口市の北東約30km、広島県との県境に近い山口県阿武郡阿東町の養鶏場「ウインウインファーム山口農場」で、3万4640羽の鶏が飼育されている。

 1月11日に山口県から農林水産省にトリインフルエンザの発生が疑われるという連絡が入り、死亡した鶏を農業・生物系特定産業技術研究機構動物衛生研究所で調べたところ、A型インフルエンザウイルス(H5)が検出され、高病原性鳥インフルエンザの感染が確認された。

 現在、同農場では、鶏卵の出荷自粛、鶏舎の消毒、部外者の立ち入り制限などを実施している。鶏卵や鶏肉を食べることによる人間への感染は世界的に見ても報告されていないが、農林水産省では、同養鶏場から出荷された鶏卵の自主回収を指導、現在、回収が進められている。飼育されている鶏全羽の殺処分も近く実施されることになる。この農場を中心とした半径30km以内の地域では、生きた鶏の移動や鶏肉、鶏卵の出荷が禁止されるなどの「移動制限」が実施されている。

 こうした措置は、農林水産省が2003年9月17日付けの課長通知として公表した「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアル」に基づくもの。トリインフルエンザは家禽ペストとも呼ばれ、感染力が強い。いったん家禽などが高病原性ウイルスに罹患すれば、ほぼ100%が死亡するとされる。香港では1997年にH5インフルエンザが生きた鶏との接触によって人間に感染した事例が報告されている。このため、養鶏従事者の健康状態の確認も進められている。

 感染源についてはまだ特定されていないが、現在、流行が起きている韓国やベトナムとの関連性も指摘されている。今回、トリインフルエンザが発生した山口県阿武郡は、韓国南東部との直線距離が300km弱しかなく、渡り鳥を介しての感染も否定できないようだ。

 農林水産省のプレスリリースはこちら、高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルの全文はこちら(pdfファイル)まで。(中沢真也)

■ 新刊のご案内 ■


Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 眼科専攻医登録数、愛知県の人数はなぜ突然変わった… ニュース追跡◎専門医機構の内部資料から見えてきたこと FBシェア数:43
  2. 腎機能を確認せずに造影CTを行うのは罪? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:86
  3. 1歳男児。躯幹の小丘疹と手掌・足底の水疱 日経メディクイズ●皮膚 FBシェア数:0
  4. 手術で体重3割減、合併する糖尿病も高率で寛解 トレンド◎肥満外科治療が日本でも普及の兆し FBシェア数:156
  5. 76歳女性。動悸、ふらつき 日経メディクイズ●心電図 FBシェア数:0
  6. スタチンだけで下げられないリスクを減らすか? トレンド◎フィブラート系薬に20数年ぶりの新薬ペマフィブラート登場 FBシェア数:15
  7. 尿閉を生じた高齢患者で想起すべき疾患は? カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:36
  8. 糖尿病による合併症、忘れてはいけない認知症 岩岡秀明の「糖尿病診療のここが知りたい!」 FBシェア数:29
  9. 見えにくい静脈への穿刺を助ける新兵器 リポート【動画付き】◎血管可視化装置の使い勝手は? FBシェア数:96
  10. 「腹膜透析は使えない」は過去のもの 日本透析医学会理事長の中元秀友氏に聞く FBシェア数:13
医師と医学研究者におすすめの英文校正