2004.01.13

WHOが肥満の定義めぐり新勧告、アジアにおける低カットオフ値を容認

 世界保健機関(WHO)専門家会議はこのほど、肥満の国際分類に関する新たな勧告を取りまとめ、Lancet誌1月10日号で発表した。体格指数(BMI)が25以上を過体重(overweight)、30以上を肥満(obese)とする国際分類に変更の必要はないものの、アジア諸国では「より低いカットオフ値」が適切な場合もあると結論。国によっては国際基準とは異なる分類値を用いてもよいとした。

 専門家会議では、ピマ・インディアンや台湾人、在米日本人などでは、BMIが比較的低いのに2型糖尿病などの発症率が高いと報告されている点に着目。アジア人の疫学データを解析し、心血管疾患のリスクが高まるBMIカットオフ値を検討した。

 その結果、BMIが同じでも、アジア人では白人より体脂肪率が高い傾向があることが判明。香港やシンガポールでは、心血管疾患リスクがやや高まる「過体重」のカットオフ値がBMI22〜23、ハイリスクとなる「肥満」のカットオフ値がBMI27程度とみなせることがわかった。

 ただし今回の検討では、例えば日本人の「過体重」カットオフ値はBMI24〜25、「肥満」はBMI29〜30となり、WHOの国際分類基準とほぼ同じ水準となった。つまり、アジアでも国によりカットオフ値が異なることが示唆され、「一律引き下げ」を支持するだけのデータはないことも判明した。

 以上から専門家会議は、現行の国際分類を、現時点で変更する必要はないと結論。ただし、アジア諸国では、公衆衛生的・政策的な必要性に応じ、WHOの国際分類に含まれないカットオフ値を用いてもよいと勧告している。

 わが国では日本肥満学会が、BMI25以上を「肥満」、BMI25以上で2型糖尿病など肥満関連疾患がある場合や内臓脂肪が多い場合などを「肥満症」と定義しており、「肥満症」に対する治療ガイドラインの策定を進めている。日本独自のエビデンスに支持されたガイドラインだが、世界に向けた情報発信も一層必要な時代が来たと言えそうだ。

 この論文のタイトルは、「Appropriate body-mass index for Asian populations and its implications for policy and intervention strategies」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.12.3 USPSTFが肥満スクリーニングGLを策定、外来での肥満成人スクリーニングと介入を推奨

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. エリートサラリーマンが子どもに私立医学部を勧める… 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:28
  2. 主訴「僕、麻疹かもしれない」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:88
  3. 某球団の熱烈ファンを狙った医師採用戦略 裴 英洙の「今のままでいいんですか?」 FBシェア数:121
  4. 「オギノ式」を生んだ荻野久作夫妻の絆 病と歴史への招待 FBシェア数:3
  5. OSA患者のCPAP使用は性生活の質を改善する JAMA Otolaryngol Head Neck Surg誌から FBシェア数:10
  6. 探してます。自然な理由を 病院珍百景 FBシェア数:15
  7. 高齢者の結核に要注意、フレイルは治療のリスク 学会トピック◎第60回日本老年医学会学術集会 FBシェア数:39
  8. 麻疹で困っている、知りたい、気になることは? ソーシャルネットワークでAMRに挑む FBシェア数:13
  9. ムコイド型耐性肺炎球菌に新たな耐性菌が 学会トピック◎第92回日本感染症学会・第66回日本化学療法学会 FBシェア数:20
  10. どうして今さら訪問看護!? ぐるぐる訪問看護 FBシェア数:42
医師と医学研究者におすすめの英文校正