2004.01.09

【ミニ解説】 約1万床が開設許可の取り消し寸前 その責任はいずこに?

 厚生労働省は、昨年末、2003年8月末時点の「医療施設動態調査」(概数)を公表した。病床区分届け出の締め切り日時点の施設数や病床数を集計したこの調査によれば、一般病床か療養病床かの届け出をまだ済ませていない「経過的旧その他の病床」は9161床。約1万床が開設許可取り消しの瀬戸際にあったことになる。

 幸い昨年は8月31日が日曜日だったため、翌9月1日に届け出ても法律上有効だった。そこで、一般か療養か最後まで迷った病院の中には、9月1日に届け出たところもいくつかあったようだ。例えば山口県の病院関係者によれば、同県内では9月1日届け出の病院が2施設あったという。

 「一度、一般か療養かを届け出たら変更できない」という情報が広まっていたことが、最終日まで判断に迷った病院があった理由の一つだろう。だが、第4次医療法改正の解説書をよく読めば、それぞれの人員や構造設備の要件を満たせば都道府県知事の許可を受けて変更できる旨の記述はある。厚労省も通知や事務連絡で周知を図ったという。

 「こうした文書を病院の経営者はあまり読んでいないのではないか?プロ意識があると思っていたのに…」。医政局の担当者から、こうした嘆き節が聞かれるのも無理はない。

 もっとも病院側にも言い分はある。厚労省は、これまでに何度か、通知1枚で突然の制度変更を行ってきたというのだ。「ぎりぎりまで届け出なかった病院があったのは、行政に対する不信感の表れ」と説明する病院団体の関係者もいる。

 結果的に、9月1日までに全病院が届け出を終え、開設許可取り消しで入院患者が宙に浮くという事態は避けられた。だが、“外野席”からの無責任な意見だと承知しつつ言えば、開設許可取り消しになった病院が出て社会的な問題になった方が、病院・行政両者に反省を促す契機となって、今後のためにはよかったのかもしれない。(井上俊明、日経ヘルスケア21編集委員)

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