2004.01.09

【注目の企業】 “トクホ長者”が誕生 総医研がマザーズに上場、時価総額は788億円に

 トクホ(特定保健用食品)取得に欠かせないヒト臨床試験の受託実績でトップの総合医科学研究所(総医研)が、2003年12月18日に東証マザーズに上場した。食品やサプリメントのヒト臨床試験の受託会社は日本に複数社存在するが、株式公開する企業は初めて。

 株価の初値は136万円。12月8日発表の「公募増資等の価格」65万円に比べ2倍を超える値がつき、株式公開で調達した資金は238億円を超えた。

 1月8日終値は136万円で、発行済株式5万7998株との積である時価総額は788億円を超す。

 総合医科学研究所は設立が1994年7月26日。同社取締役を務める大阪外国語大学保健管理センターの梶本修身助教授が実質的な中心となり、ヒト臨床試験の受託業務を開始。

 日本では、「体脂肪が気になる方に適する」「血圧が高めの方に適する」といった保健機能(効能)を食品に表示するには、トクホの表示許可が必要だ。

 トクホの表示許可を取得するためには、実際にヒトに摂取してもらって効能を検証したデータの論文発表が不可欠。

 ところが、トクホ取得には厳密さが求められるため、1企業内ではヒト臨床実験の実施が不可能。このため、ヒト臨床試験を専門会社に任せ、試験結果を論文発表するまでの業務を一括して外注するニーズが急増している。

 同社の2003年6月期決算は売上高6億7400万円、経常利益3億7200万円。2003年7〜9月の第1四半期は売上高4億1100万円、経常利益2億4200万円と順調に業績を伸ばしており、第1四半期の売上高経常利益率は58%超と高い。

 株式公開時点で、同社取締役の梶本助教授が39.03%、同社代表取締役社長の梶本佳孝氏(梶本修身氏の兄で、大阪大学医学部助手を務めていた)が14.55%、梶本智子氏(梶本修身氏の妻)が21.07%と、梶本兄弟とその血族で株式の7割以上を保有している。

 売り上げの構成比は、ヒト臨床試験事業が99.8%、バイオマーカー開発事業が0.2%。

 主要取引先は、カルピス17.0%、味の素16.6%、仙味エキス13.6%、伊藤園10.4%、ヤクルト10.3%、ミツカングループ本社10.1%となっている。

 同社はヒト評価試験における自社の強みとして、以下の3点をウェブ上で紹介している。(以下は、そこからの引用)

(1) 信頼できる責任医師
 取引先企業に対しては、臨床試験における担当医師が当初のご相談から直接応談し、許可申請・取得までのサポートを行います。
 大学研究者の技術指導・研究成果の活用を用い、最新かつ最も確実な特定保健用食品許可取得プロトコルを作成します。

(2) 試験専門の医療機関
 評価試験専門の医療機関「総医研クリニック」と提携。
 食品評価試験においては、医薬品以上に鋭敏な精度と信頼性の高いデータが要求されます。そのため、鋭敏なバイオマーカーとともに最高の試験環境が必要となります。
 総合医科学研究所では、臨床試験のみを業務とする総医研クリニックが同じ千里ライフサイエンスセンター内に開設されていることにより、被験者がいつでもゆとりを持って試験に参加でき、同一基準による評価試験を行うことができる最高の試験環境が整備されています。

(3) 3500名以上の未治療被験者バンク
 特定保健用食品の対象となる生活習慣病境界域の被験者を一般病院で集めることは容易なことではありません。総合医科学研究所では3500名を超える未治療被験者バンクを構築。大規模な被験者公募、スクリーニングを行い、リアルタイムで被験者データを管理しています。血圧、高脂血症、血糖から、骨粗鬆症、便秘、通年性鼻炎、慢性疲労症候群まで未治療被験者を4週間以内に確実に一斉エントリーさせることができ、迅速な試験実施および結果報告を可能としています。

 総合医科学研究所は、現在の主力事業であるヒト臨床試験に加え、バイオマーカー事業を伸ばしていく考え。

 バイオマーカーとは人間の健康状態を定量的に把握するための科学的な指標のことで、例えば、血糖値やコレステロール値などがバイオマーカーにあたる。

 ところが、しっかりしたバイオマーカーがない分野がまだ残されており、新しいバイオマーカーを開発できれば、特許で権利を固めることができ、収益向上に大きく寄与する。
 
 すでに同社は、2003年11月から「疲労」の新バイオマーカー開発のプロジェクトを開始している。同社がコーディネーター役となり、疲労の権威である大学研究者を結集した「疲労定量化及び抗疲労医薬・食品開発プロジェクト」だ。18社が参加する約10億円のプロジェクト(関連トピックス参照)。

 しっかりした健康効果をもつ食品はこれからさらに増えることは確実で、ヒト臨床試験のニーズもさらに高まるだろう。(河田孝雄)



■ 関連トピックス ■
◆ 2003.11.14 疲労回復のトクホ表示獲得を目指す産官学連合が始動
アサヒビール、花王、武田薬品など18社が参加

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 難治性皮膚潰瘍を再生医療で治す リポート◎大リーガー田中将大投手のケガも治したPRP療法とは? FBシェア数:11
  2. トイレにこそ、人間の尊厳がある Dr.西&Dr.宮森の「高齢者診療はエビデンスだけじゃいかんのです」 FBシェア数:470
  3. 輸液の入門書 医学書ソムリエ FBシェア数:0
  4. わいせつ容疑の外科医、初公判で無罪を主張 「乳腺科医のプライドにかけて無罪を主張します」 FBシェア数:568
  5. 医療者は認知症家族との暮らしが分からない 患者と医師の認識ギャップ考 FBシェア数:127
  6. 野菜食べてる? 村川裕二の「ほろよいの循環器病学」 FBシェア数:83
  7. 難治性慢性咳嗽にボツリヌスが効く!? Dr.倉原の呼吸器論文あれこれ FBシェア数:52
  8. 広がる安易な帝王切開、母体死亡率高まる危険性 国境なき医師団が見た世界の医療現場 FBシェア数:27
  9. 金属に対する生体吸収ステントの優位性示せず Lancet誌から FBシェア数:94
  10. 下血? 血便? 赤いの? 赤くないの? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:132