2004.01.09

「ALLHAT」研究結果が医師の処方動向に大きく影響、利尿薬が急増、RA系抑制薬が急減−−加研究

 カナダOntalio州の高齢者薬剤データベースの解析から、降圧薬の大規模臨床試験「ALLHAT」(Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial)研究の最終結果発表を受け、降圧薬のシェアが大きく変動したことが明らかになった。発表後4カ月で、利尿薬の処方比率が急増、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬などレニン・アンジオテンシン系(RA系)抑制薬の処方比率が急減したという。解析結果は、Journal of the American Medical Association(JAMA)誌1月7日号に掲載された。

 ALLHAT研究は、高血圧以外の冠動脈疾患危険因子を一つ以上持つ55歳以上の高血圧患者4万2000人を最長8年間追跡した、過去最大規模の降圧薬比較試験。最終解析では、対照薬である利尿薬のクロルタリドン(わが国での商品名:ハイグロトン)が、カルシウム(Ca)拮抗薬のアムロジピン(同:ノルバスク、アムロジン)、ACE阻害薬のリシノプリル(同:ロンゲスなど)よりも、一部の心イベント予防効果に優れるとの結果が出ている(関連トピックス参照)。

 カナダ臨床評価科学研究所のPeter C. Austin氏らは、Ontario州在住の65歳以上の高齢者130万人をカバーする、薬剤データベースODB(Ontario Drug Benefit)を解析。ALLHAT研究の最終結果が発表された2002年12月以降、2003年4月までの間に降圧薬のシェアがどのように変わったかを評価した。

 発表直前の2002年11月における、降圧薬全体に占める利尿薬のシェアはわずか16.0%。ところが、発表直後の2003年1月にはこれが26.5%に急増、1〜4月までの4カ月間も過去3年半の推移から予測されるシェアを有意に上回った(p<0.001)。

 逆に、ACE阻害薬とアンジオテンシン2(A2)受容体拮抗薬とを併せた「RA系抑制薬」のシェアは、2002年11月の44.3%から一転、2003年1月には35.4%にまで低下。その後4カ月も予測シェアを有意に下回った(p<0.001)。もう一つの評価薬であるCa拮抗薬は、最初の2カ月で予測シェアをわずかながら有意に下回ったが、後の2カ月は予測シェアの水準に戻った。

 今回得られたデータが示すのは、大規模臨床試験の結果が、医師の処方動向に大きく影響し、しかもその影響は発表後すぐに現れるということ。MedWaveが2003年3月に行った調査では、「ALLHAT研究は今後の診療に影響を与える」と回答した医師が75%に達しており(関連トピックス参照)、日本人医師に対してもALLHAT研究の影響が大きいことが示唆されている。同研究が日本人医師の降圧薬処方動向にどのような影響を与えたか、興味が持たれるところだ。

 この論文のタイトルは、「Changes in Prescribing Patterns Following Publication of the ALLHAT Trial」。「Research Letters」欄に掲載されており、JAMA誌の購読者は、同誌最新号のホームページから全文を閲読できる。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.12.18 「利尿薬はACE阻害薬、Ca拮抗薬に勝る」−−NHLBIが「ALLHAT」研究結果を発表
◆ 2003.6.4 循環器治療の最新動向に関する調査】(その6)「今後の診療に影響を与える」の1位はALLHAT

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