2004.01.08

「すべて陰性」実は梅毒陽性−埼玉県の性感染症匿名検査で結果誤認、呼び掛けに反応なし

 埼玉県で2003年11月、「梅毒陽性」だったにもかかわらず、検査結果の判定を誤り、「全項目陰性」と通知してしまう事故があった。困ったことに判定ミスがあったのは保健所で実施している性感染症の無料・匿名検査であったため、本人に連絡できない状態になっている。知らずに感染を広めてしまう可能性もあるだけに、事態を重くみた県は2日後の12月5日に記者発表を行い、インターネットや保健所の掲示などを使って公開の呼び掛けに踏み切った。しかし、1カ月後の今年1月になっても応答はないという。「呼び掛けに気付いたものの、ほかの医療機関を受診した可能性もある」という声もあるが、もちろん保証の限りではない。

 誤認があったのは40代の男性の検査。11月17日に埼玉県の川口保健所でエイズ、B型肝炎、C型肝炎、梅毒の検査を受診した。同県衛生研究所で19日に検体の検査を実施し、21日に陰性の検査成績書を作成して川口保健所に送付した。保健所では11月26日に本人に結果通知書を渡している。

 ところが、埼玉県衛生研究所で12月3日に実施された検査で、梅毒陰性の対照検体として、たまたまこの40代男性の血清を用いたところ、陽性反応が出た。驚いて詳細な検査を実施したところ、陽性であることが判明した。

 誤判定の原因を調査したところ、11月19日に行われた梅毒の検査では、通常なら複数の担当者で実施する梅毒検査の結果判定を一人の担当者だけで実施していたことが判明した。

 同研究所では、検体を複数担当者で検査する方式を採用してはいたが、ダブルチェック体制について明文化していなかった。ヒューマンエラーを防ぐ体制が十分でなかったために起きた医療過誤であり、どの医療機関、検査機関で起きても不思議はない事態だ。現在、同研究所では、検査方法の問題点の洗い出しや再発防止を目指したチェックリスト作成を進めている段階だという。

 今回のケースでは、検査結果に問題があった場合、何らかの形で検査受診者を追跡できれば正しい結果を再通知できたわけだが、「性感染症の検査では匿名だからこそ受診する人が大部分を占める。匿名性は不可欠」(埼玉県健康福祉部医療福祉課)という。埼玉県では、梅毒については2001年度に692件、2002年度に629件、エイズについては2001年度に3452件、2002年度には1317件の無料・匿名検査を実施している。

 しかし、不注意による誤判定がなくても、偽陽性、偽陰性を皆無にするのは難しい。インターネットなどを利用して、誤判定などフォローアップの必要が起きた時、匿名性を損わずに情報伝達ができる仕組みの開発なども検討すべき時期にあるのではないだろうか。

 埼玉県のプレスリリースはこちらまで。(中沢真也)

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