2004.01.06

【リクエスト】厳しくなってきた「健康食品」の取り締まり(コラム:医師も戸惑う健康情報)

 最近になって健康食品の広告への取締りが厳しくなってきたようだ。2003年8月29日に施行された健康増進法第32条には、「食品として販売されている物について、健康の保持増進の効果等に関し、1.著しく事実に相違する、2.著しく人を誤認させる、ような広告等の表示をしてはならない」とある。これに違反した場合、厚生労働省は、1.必要な措置をとるよう勧告をする、2.勧告に従わなかった場合は命令、3.さらに命令に従わなかった場合は罰則を適用するという(1)。

 この健康増進法に基づき厚生労働省はバイブル本をインターネット上の広告に利用していた健康食品の販売業者30社に改善指導を行った。

 バイブル本とは、特定の健康食品の効果を解説した本を出すことで間接的に当該健康食品の効果を広告・宣伝するものである。

 本を出版することは表現の自由である。「がんに効く○○」という健康食品の広告は薬事法に抵触するが、「がんに効く○○」というタイトルを冠した本を出版することは問題ない。しかも、このようなタイトルを付けた本の広告を新聞に載せることもできる。この方法を流用し、上記の30社は健康食品の広告の一環としてバイブル本をインターネットに載せたというわけだ。ところが、健康増進法の改正によって、今までと違い、バイブル本の広告を載せること自体が取り締まりの対象となってきたのである。

 ある新聞は「30社だけ指導するのは不当だ」と指導を受けた会社の言葉を紹介した(3)。その上で、広告規制の適用範囲が広告を掲載する新聞やテレビなどのメディアにまで広げられることに対して、「広告主に責任があるという原則に反する」という日本新聞協会の反論を掲載した。

 しかし、新聞に大きく「がんに効く○○」と掲載されていれば、それがたとえ書籍の広告だったとしても、だまされてしまう消費者もいるだろう。バイブル本の新聞広告は有名新聞の威光を利用していることは明らかであり、新聞も消費者の誤認に加担しているとは言えないだろうか。

 私は、行政側がその広告の不当性を具体的に示すことは必要なことだと思う。私のサイトでも具体的に広告表現の問題を取り上げているが(4)、最近上記の健康増進法に関する厚生労働省令を解説するサイトも見られるようになってきた(5)。

 インターネットはあらゆる情報のるつぼと化しており、その質は様々である。むしろそのために、インターネットを利用する人達の情報を見る目は徐々に厳しくなってきている。「広告内容の責任は広告主にある」と主張し続けていると、そのうち新聞の見識までも問われるようになってくるだろう。

■ 参考文献 ■
(1) 厚生労働省、健康の保持増進についての虚偽・誇大広告等の表示の禁止
(2) 公正取引委員会、「不当景品類及び不当表示防止法第4条第2項の運用指針」の公表について、平成15年10月28日
(3) 朝日新聞2003年11月5日付「誇大?適正?見極め困難、厚労相、健康食品関連広告で指導」
(4) 健康情報の読み方
(5) 誤認、誇大を取り締まる規制の内容と罰則

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