2004.01.06

「タミフルを1歳未満には使用しないで」、米Roche社が注意喚起

 スイスRoche社の米国支社である米国Roche Laboratories社はこのほど、米国の小児科医など医療従事者に向け、抗インフルエンザウイルス薬のリン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)を1歳未満の乳幼児に使用しないよう求めるドクターレター(Dear Healthcare Professional letter)を発出した。1歳未満に対する臨床試験が行われておらず、効果や安全性が確認されていない上、幼若ラットへの過量投与試験で死亡が確認されたため。米国食品医薬品局(FDA)も1月2日、この件をホームページ上に記載し、添付文書の指示を守るよう注意を呼びかけている。

 今回、Roche社が注意喚起通知を出した背景には、北米におけるインフルエンザの大流行がある。今シーズンは流行の立ち上がりが例年より早かったことに加え、少なくとも42人の小児がインフルエンザで死亡したことが報告されている。リン酸オセルタミビルは1歳未満に対する安全性が確認されておらず、米国そして日本の添付文書にもその旨が記載されているが、小児のインフルエンザ関連死への関心が高まる中では“適応外処方”が行われる恐れがあると同社は判断、注意喚起を行うこととなった。

 レター内で紹介されている「幼若ラットへの過量投与試験」は、生後7日のラットにリン酸オセルタミビルを1000mg/kg(小児への推奨投与量の約250倍)、1回投与したもの。ラットは死亡し、死亡との因果関係は不明なものの、脳内へのリン酸オセルタミビルの集積が確認された。ちなみに、成熟ラットでは過量投与による死亡例はなく、脳内集積も確認されていない。

 Roche社は、この「脳内集積」の原因が、幼若ラットでは血液脳関門(BBB)が十分に形成されていないことにあると考察。BBBが未成熟である「1歳未満の乳幼児」に対しても、リン酸オセルタミビルを処方すべきではないと強調している。

 この件に関するRoche社の注意喚起通知はこちら、FDAの安全性情報はこちらまで。米国における小児のインフルエンザ関連死に関しては、米国疾病対策センター(CDC)が1月2日付けの疾病・死亡週報(MMWR)に最新情報を掲載している。(内山郁子)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 画像診断報告書の確認漏れが起こる理由 リポート◎指摘の見落とし、連携不足、多忙など改善点は多く FBシェア数:144
  2. ヒドすぎる医療シーンに仰天「これが魔術か…」 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:4
  3. 今年の大学医学部入試の問題から(その1) 松原好之の「子どもを医学部に入れよう!」 FBシェア数:1
  4. 梅毒かも、結果が出るまではエッチ厳禁で 井戸田一朗の「性的マイノリティの診療日誌」 FBシェア数:96
  5. 貯金?最悪!元本保証の呪縛から解き放たれよ Dr.Kの「医師のためのバリュー投資戦術」 FBシェア数:0
  6. 「落ちこぼれ研修医が後輩に対してメンツを保つには… 研修医のための人生ライフ向上塾! FBシェア数:4
  7. 新専門医制度、8月の専攻医募集開始に向け運用細則… 大都市の5都府県は定員に上限 FBシェア数:54
  8. 息子が中学受験、それでも地方に転職した医師の決断 医師ヘッドハンティングの舞台裏 FBシェア数:7
  9. 近所で有名な「怖い看護師さん」の処遇に悩む 榊原陽子のクリニック覆面調査ルポ FBシェア数:2
  10. 医師国試の合格率は88.7%、大学別合格率は? 8533人の新医師が誕生、合格率は90%を切る FBシェア数:1837