2003.12.19

【編集余話】 ホノルルマラソンと国民体育大会

 ホノルルマラソンは、高低差があることと気温が高いことで、世界記録が望める大会ではないかもしれないが、男子で2時間10分クラスの一流選手が参加する世界のメジャー大会の一つである。ホノルル市民があげて歓迎し、ボランティアとして支援してくれる点でも、楽しい大会である。

 12月14日に開催された31回目の“トリビア”を少し紹介しておこう。参加者2万5283人に対して、支援してくれたボランティアの人数が実に9950人、給水所で差し出された飲料のカップが190万個、氷が63.5トン、コースに設置された簡易トイレが465基、完走者にふるまわれたリンゴが3万個、などなど。もちろん、故障が起こりやすい後半を中心に救命救急隊が随所に待機しており、必要とあれば自動体外式除細動器(AED)を持って駆けつけてくれる。幸い、今回は大きな事故はなかったようだ。

 大きな特色の一つは、制限時間が原則としてないこと。朝5時にスタートし、7時過ぎにフィニッシュするランナーも入れば、14時間かけて全部歩き通す高齢者も見かける。そのため、ホノルルでマラソンデビューという参加者が少なくないことだ。

 参加者の大半が日本人ということも大きな特色だろう。今回は2万5283人中1万5149人、ちょうど6割が日本人だった。第31回目の今回、女子でアミノバイタルACの早川英里が日本人として初の優勝、車椅子女子でもSHIの土田和歌子が日本人初優勝という嬉しい快挙があった。ほかにも、長谷川理恵、浅井えり子、谷川真理、永井大、押切もえなどの有名人と走る楽しみもある。

 さて、42.195kmもの距離を走るフルマラソンは、運動としては極めて負荷が高い。「身体が酸化し過ぎる過激な運動だ」と批判的な声もよく耳にする。確かに、フルマラソン後には関節の障害や筋肉痛とともに、肝機能の低下や免疫機能の低下が見られるという研究結果も多い。長年、多くの大会に参加している市民ランナーにも、びっくりするほど老けている人がいる。

 しかし、節度さえ守れば、マラソン参加の利点は多い。日本では糖尿病の有病率が激増しており、健康日本21でも日常的な運動の重要性が繰り返し強調されているが、ただ「健康のために」と言われて運動を続けるのは不可能に近い。30〜40代の男性を中心に肥満が急増していることから見ても、動機づけの難しさは明らかだ。

 それが、「ホノルルでまた走る」ことが目標となれば話は違う。月に100〜200kmを目標に走り、体重を管理するために食生活に注意するようになる。いつのまにか階段が苦にならなくなり、脂っこいものを控えるようになっていく。健康管理という視点で考えれば、ホノルルマラソン参加は、個人としても十分引き合うのではないだろうか。

 なにもフルマラソンでなければダメというつもりはない。現在、各県で開催されている国体は若手アスリートの活躍の場になっている。しかし、市民が自由にエントリーできて楽しめる、本来の「国民体育大会」があってもそろそろよい時代だ、と思う。(中沢真也)

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