2003.12.17

ACPとAAFPがAF診療の合同ガイドラインを策定、「レート・コントロール」を推奨

 米国内科学会(ACP)と米国家庭医学会(AAFP)は12月16日、新規に診断された心房細動(AF)患者に対する診療ガイドラインを共同発表した。ガイドラインでは、AFの二つの治療戦略のうち、「レート・コントロール」(心拍数の正常化)を推奨。レート・コントロールに用いる第一選択薬として、β遮断薬とカルシウム(Ca)拮抗薬を挙げ、ジゴキシンは第二選択薬と位置付けた。ガイドラインは、ACPの学術誌であるAnnals of Internal Medicine誌12月16日号に掲載された。

 AFは、心房が1分間に300〜500回と、通常の数倍以上の速さで、不規則に興奮するタイプの不整脈。加齢と共に罹患率が上昇する。動悸などの自覚症状がないことも多いが、心臓のポンプ機能が弱って心不全になったり、心臓の中で血栓ができ、それが脳血管につまることで脳梗塞(心原性脳塞栓)を引き起こす恐れがある。AFの管理戦略は、抗不整脈薬などで洞調律化を図る「リズム・コントロール」と、抗凝固薬の併用下で心拍数を下げる薬を用いる「レート・コントロール」に大別できる。

 合同ガイドライン委員会では、2002年春の米国心臓学会(ACC)で発表された「AFFIRM」(the Atrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management)試験や「RACE」(Rate Control vs. Electrical Cardioversion for Persistent Atrial Fibrillation)試験(関連トピックス参照)などを勘案。両戦略の生存率、脳梗塞発症率に差がない(リズム・コントロールが優るという証拠がない)ことから、実地医家にとって実施しやすい「レート・コントロール」戦略を採用すべきとした。

 また、レート・コントロールを行う際には、年齢や合併症から患者の脳梗塞発症リスクを評価し、中等度以上のリスクがある場合は抗凝固薬を併用するよう推奨。抗凝固薬としては、禁忌でない限り、ワルファリンカリウム(商品名:ワーファリンなど)を用いるべきとした。

 さらにガイドラインでは、レート・コントロールに用いる第一選択薬として、β遮断薬のアテノロール(同:テノーミンなど)、メトプロロール(同:セロケンなど)と、Ca拮抗薬(わが国では頻脈性不整脈への適応なし)のジルチアゼム(同:ヘルベッサーなど)、ベラパミル(同:ワソランなど)の4剤を列挙。一方、これまで第一選択薬として用いられることが多かったジゴキシン(同:ジゴシンなど)は、「心拍安定化効果が安静時にしか認められない」との理由で、第一選択の薬が使えない場合のみに使用すべきとした。

 ガイドラインの適応患者は、AFによる症状や重症心不全、弁膜症などの合併がない、裏返せば実地医家が日常診療で出会う機会が多い、軽症のAF患者。このガイドラインは、そうした患者に対し、使用頻度が低い抗不整脈薬ではなく、β遮断薬など使い慣れた薬で対処するよう勧めるものだ。

 もちろん、ワルファリンカリウムも“使いにくい”薬の一つで、リズム・コントロール戦略の利点の一つは「ワルファリンカリウムを切れる」ことだが、より使いやすい抗凝固薬も近く臨床現場に登場する(関連トピックス参照)。今回、米国の2大プライマリ・ケア関連学会が、レート・コントロール戦略を前面に打ち出したガイドラインを策定したことで、AF患者の治療戦略の主流はレート・コントロールへと確実に転換するだろう。

 このガイドラインのタイトルは、「Management of Newly Detected Atrial Fibrillation: A Clinical Practice Guideline from the American Academy of Family Physicians and the American College of Physicians」。アブストラクトは、こちらまで。根拠となった臨床研究の網羅的レビューは、「Management of Atrial Fibrillation: Review of the Evidence for the Role of Pharmacologic Therapy, Electrical Cardioversion, and Echocardiography」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.3.19 再掲】ACC '02速報】心房細動の治療戦略やクラミジア除菌の位置付けが明確化−−LBCT 1より
◆ 2003.11.25 AF対象の経口抗トロンビン薬臨床試験「SPORTIF 3」、待望の原著論文がLancet誌に掲載

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