2003.12.17

待ち時間「30分未満」が半数弱、カルテ内容を「知りたい」7割「見た」1割−−平成14年受療行動調査より

 厚生労働省は12月16日、「平成14年受療行動調査」の結果概況を発表した。この調査は1996年から3年おきに行われており、今回が3回目。病院の外来待ち時間が「30分未満」の割合が45.0%と、前回調査(1999年)より7.8ポイント増加し、待ち時間の短縮化が着実に進んでいることが判明。一方、カルテ開示などの情報提供に関しては、未だ低い水準にあることが明らかになった。

 調査の目的は、病院を利用する外来・入院患者の受療状況や、医療に対する満足度などを調べ、今後の医療行政の基礎資料とすること。全国の一般病院(診療所は対象外)から488施設を選び、2002年10月8〜10日の三日間のうち、医療施設ごとに指定した1日に、外来患者票、入院患者票を調査員が配布、原則として患者本人に記入してもらった。調査票の配布総数は15万4100枚(外来10万3308枚、入院5万798枚)、回収数は11万8188枚で、回収率は76.7%(外来72.6%、入院85.1%)。有効回答数は11万7334件だった。

 調査項目は、1.病院を選ぶ際の情報、2.複数の医療機関受診状況(外来患者のみ)、3.待ち時間・診察時間(外来患者のみ)、4.説明の状況、5.カルテ開示の状況、6.医師から言われた今後の入院期間(入院患者のみ)、7.今後の療養(入院患者のみ)、8.満足度−−の8項目。

病院選定は口コミと医師からの紹介がメイン、「医師の専門分野」への情報ニーズ高まる

 病院を選ぶ際の情報(医師からの紹介含む)については、外来患者の75.5%、入院患者の81.1%が「参考にしたものがある」と回答。参考にした情報(複数回答)で最も多かったのは、外来では「家族・友人・知人からの情報」(58.5%)、入院では「医師の紹介・意見など」(53.2%)だった。雑誌記事やテレビなど「刊行物や番組」が情報源となったのは外来1.0%、入院0.8%、「インターネット上のホームページ」は外来0.9%、入院1.1%で、いずれも少数派だった。

 病院を選ぶに当たり「欲しいと思った情報」(複数回答)は、外来患者では「医師の専門分野」(46.7%)、「予約制の有無」(38.7%)、「夜間・休日診療の実施の有無」(37.9%)がトップスリー。入院患者では「入院に必要な経費」(43.5%)、「医師の専門分野」(42.3%)、「療養環境」(34.2%)が多かった。前回調査と比べると、「医師の専門分野」に対する情報ニーズが入院・外来ともに大きく上昇している点が目を引く(順に15.2ポイント、14.9ポイント上昇)。なお、「第三者機関による評価」を要望したのは、外来患者の20.1%、入院患者の32.1%だった。

 医療費上昇の一因とされる「複数受診」(調査日1カ月以内の他医療機関の受診)は、外来患者の44.3%が実施。同一の疾患・症状での複数受診も18.1%に上った。ただし、同一疾患・症状での複数受診理由は、検査や手術など「異なる目的での受診」が35.8%、「医師の紹介」が21.4%で、一般に“ドクター・ショッピング”の動機とされる「受けている医療に不安・不満がある」との回答は9.9%だった。

「診察時間の短縮化」が待ち時間の短縮化を牽引か

 前回調査で病院に対する外来患者の不満のトップとして上がった「待ち時間」については、「15分未満」が22.7%、「15〜30分」が22.3%で、外来患者全体の45.0%が30分以内に診療を受けられていることが判明。予約患者(全体の46.7%)では予約していない患者(全体の47.7%。残りは不詳)より、待ち時間が30分未満の患者比率が高かった(順に51.3%、42.0%)。

 一方、外来患者の診察時間は、「3分未満」が18.1%(前回値:17.4%)、「3〜10分」が49.9%(同:48.8%)となり、いずれも前回調査より上昇。満足度との関連では、待ち時間が「15分未満」で満足度が高く、診療時間が「3分未満」で不満が多かった。

 病状や治療方針に対する説明は、外来患者の80.2%、入院患者の87.2%が「受けた」と回答。説明内容が「わかった」と答えた人の比率も、外来で88.7%、入院で87.6%に上った。これらのデータからは、病状の説明を受け、理解できてもなお、診察時間の短さに不満を抱く患者像が浮かび上がる。

カルテを実際に「見た」患者は9%

 話題の「カルテ開示」に関しては、カルテ内容を「知りたい」患者比率が、外来で69.1%(前回値:63.7%)、入院で67.6%(前回値:54.3%)といずれも上昇。「知りたい」患者比率には病院の規模と相関があり、入院・外来ともに大規模病院の受診者ほど知りたい人の比率が高かった。カルテ内容を知りたい理由は、「受けている治療について理解を深めたい」(外来:47.6%、入院:43.4%)、「病名・病状・治療内容などについて本当のところが知りたい」(外来:20.5%、入院:27.3%)の二つが多かった。

 今回初めて調査項目に入った「自分のカルテを自ら要望して見せてもらったことがあるか」(カルテ開示の有無)については、外来の9.0%、入院の8.7%が「見せてもらったことがある」と回答。「カルテ内容を知りたい」と思っている患者比率との解離が目立った。

 ただし、「見せてもらったことがない」理由については今回の調査で尋ねておらず、要望したのに拒否されたのか、そもそも見せて欲しいと頼んだことがないのかなどは不明。また、どの程度まで「見た」のかも聞いていないので、この数字をそのまま「カルテ開示率」とは解釈できない点にも注意が必要だ。

退院後「在宅療養できる」入院患者は半数弱、家族の協力やデイサービスの充実が必要に

 入院患者の「今後の療養についての希望」も、今回初めて調査対象となった項目。「自宅に戻りたい」(43.6%)が最も多く、「良くなるまで入院していたい」(35.7%)が続いた。患者の希望と病院の規模とには相関がみられ、大規模病院ほど「自宅に戻りたい」人が多くなった。

 しかし、退院の許可が出た場合、「在宅療養できる」のは46.6%。25.2%は「在宅療養はできない」と回答した。「できない」と回答した人に、どうなれば在宅療養が可能になるかを尋ねた設問では、「家族の協力」(44.3%)や入浴・食事介護などの「デイサービス」(33.5%)が必要だと答えた人が多かった。

患者の約半数が病院に「満足」、1割弱が「不満」

 「病院の全体的な満足度」に関しては、外来患者の48.4%(前回値:52.5%)、入院患者の54.3%(同:56.0%)が「満足」と回答。「不満」との回答は外来の7.5%(同:5.9%)、入院の7.1%(同:6.2%)を占めた。前回調査と比較すると、わずかながら「満足」が減り、「不満」が増えたとの結果だ。

 項目別にみると、外来患者では「医師への質問や相談のしやすさ」(53.9%、前回値57.3%)、「診察時のプライバシー保持」(46.8%、前回値46.4%)、「受けている診察・治療内容」(44.9%、前回値49.0%)に「満足」と答えた人の比率が高かった。逆に「不満」が多かったのは、「待ち時間」(29.8%、前回値35.2%)、「診察・治療に要した費用」(20.7%、前回値19.2%)だった。

 入院患者の項目別満足度では、「看護師などによる看護・介助」(61.4%、前回値61.5%)、「医師への質問や相談のしやすさ」(56.8%、前回値56.9%)、「受けている診察・治療内容」(51.8%、前回値53.6%)で「満足」との回答比率が高かった。「不満」が多かったのは、「食事の内容」(18.0%、前回値17.9%)、「病室などの使いやすさ」(14.0%、前回値13.7%)だった。

 厚生労働省では今後、この「受療行動調査」と平行して実施した「医療施設静態調査」「患者調査」を用い、結果の全国推計値を算出。両調査との関連集計も行い、来年5月をめどに報告書をまとめる予定だ。今回発表の調査概況については、厚生労働省ホームページの「平成14年受療行動調査の概況」まで。(内山郁子)

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