2003.12.17

塗る風邪薬、整腸薬はOK、飲む風邪薬や頭痛薬、目薬はNG−−医薬品の「コンビニ販売可能品目」まとまる

 厚生労働省の「医薬品のうち安全上特に問題がないものの選定に関する検討会」は12月16日、一般用医薬品85製品群(約1万3000品目)のうち15製品群、約350品目を、コンビニエンス・ストアなどの一般小売店で販売してもよいとする作業案を取りまとめた。18日に最終報告書を発表する。選定品目は医薬部外品としての告示を経て、早ければ来夏にも“コンビニ販売”が始まる。

 薬局以外でも販売できる市販薬としては、外用の風邪薬(塗る風邪薬)やビフィズス菌などを含む整腸薬、コンタクトレンズ装着液などが選定。一方、医薬品販売の規制緩和を求めていた政府の総合規制改革会議が例示した「内服の風邪薬」や「解熱鎮痛薬」(頭痛薬)などは対象外となった。さらに、厚生労働省は同日、選定された市販薬を医薬部外品へと移行して「薬(医薬品)は薬局でのみ販売する」との形式を保つ方針を明らかにしたが、これは4年前の「ドリンク剤コンビニ販売解禁」時と同じ措置だ。

 選定にあたっては、検討会の下に今年10月、ワーキンググループを設置。1.副作用や習慣性などの薬理作用、2.薬剤師による販売時情報提供の必要性−−の2点に基づき、計13回の議論を経て選定を行った。選定された15製品群と主な成分は次の通り。

 ・消化薬(ジアスターゼ、リパーゼなど)
 ・健胃薬(炭酸水素ナトリウム、センブリなど)
 ・整腸薬(ビフィズス菌、ラクトミンなど)
 ・健胃消化薬(ジアスターゼ、酵母など)
 ・瀉下薬(下剤)(プランタゴオバタ種皮など)
 ・ビタミン含有保健薬(ビタミン類、アミノ酸類など)
 ・生薬主薬製剤(ニンジン、ローヤルゼリーなど)
 ・カルシウム主薬製剤(グルコン酸カルシウム、ボレイなど)
 ・のどあれ薬(塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウムなど)
 ・うがい薬(塩化セチルピリジニウム、メントールなど)
 ・かぜ薬(外用)(カンフル、メントールなど)
 ・殺菌消毒薬(塩化ベンゼトニウム、アクリノールなど)
 ・しもやけ・あかぎれ用薬(カンフル、グリセリンなど)
 ・コンタクトレンズ装着液(アスパラギン酸カリウム、塩化ナトリウムなど)
 ・いびき防止薬(グリセリン、塩化ナトリウムなど)

 選定品目を一般小売店で販売する際は、消費者が購入前に知るべき情報を外箱に明瞭に表示し、薬剤師の説明がなくても重要な情報を消費者が入手できるよう求めた。国に対しても、副作用の発生状況などを把握し、必要に応じて選定結果を見直すことを要請している。

 なお、選定されなかった主な製品群と、主要な理由は次の通り。

 ・かぜ薬(内用):中枢性の成分(選定対象外)が多く、副作用も皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)など重篤なものがある
 ・解熱鎮痛薬(いわゆる頭痛薬):中枢性の成分(選定対象外)が多く、副作用も皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)など重篤なものがある
 ・眠気防止薬:配合されているカフェイン類は過量により有害反応をきたすことがある
 ・制酸薬:腎障害を悪化する恐れがある(アルミニウム配合品)
 ・止瀉薬:腎障害を悪化する恐れがある(アルミニウム配合品)、正常な腸内細菌叢を乱す恐れがある(ベルベリン、クレオソート)
 ・浣腸薬:安易な使用による習慣性の形成が懸念される
 ・鎮咳去痰薬:薬理作用が中枢性の成分が多く、副作用もアナフィラキシー・ショックなど重篤なものがある(「のど清涼剤」などとして1999年に部外品に移行した成分はOK)
 ・痔疾用薬:外用消炎成分として用いられるステロイド剤は選定対象外。連用するうちに痔疾が慢性化する恐れがあり、受診勧奨など専門家の関与が必要
 ・避妊薬(殺精子薬):アレルギーなど有害事象が発生する恐れがある
 ・点眼薬:血管収縮作用成分、抗ヒスタミン作用成分などは選定対象外。そうした成分を含まない人工涙液も、緑内障が禁忌になっているため、専門家による情報提供が必要
 ・禁煙補助剤:ニコチン製剤は有害作用がある上、禁煙補助のための使用方法が定められており、適正使用のためには適切な服薬指導が必要
 ・一般用検査薬(妊娠検査、尿糖、尿蛋白):正しい結果を得るための操作方法、判定方法について適正に説明する必要がある。検査結果に偽陽性・偽陰性があることの説明も必要

 留意すべきなのは、医薬部外品で大きな健康被害が生じた場合、公的な救済措置、すなわち医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(医薬品機構)からの救済給付が受けられないこと。小売店での販売の前提に「医薬品から医薬部外品への移行」がある限り、風邪の内服薬や頭痛薬などをコンビニで販売するのは難しいと言わざるを得ない。

 もう一つ注目すべきなのが、「薬剤師の説明が必要」であることを主な理由として選定に漏れた製品群の存在だ。これらの製品群を購入する際、はたしてどれだけの人が十分な説明を受けているだろうか。今回の判断が妥当とされるか否かは、今後の薬剤師の活躍にかかっていると言っても過言ではないだろう。

 この件に関する厚生労働省のプレス・リリースは、こちらまで。最終報告書も、厚生労働省のホームページ上で公表される予定だ。(内山郁子)

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