2003.12.16

米の高血圧ガイドラインJNC7、「完全版」がようやく発表

 今年5月に速報版が発表された、「高血圧の予防、発見、診断、治療に関する米国合同委員会第7次報告(JNC7)」の完全版(complete version)が、米国心臓協会(AHA)の学術誌であるHypertension誌12月号に掲載された。今夏にも掲載が予定されていたもので、予定より大幅に遅れての全文発表となった。

 JNC7は米国の高血圧診療ガイドラインで、1997年に発表されたJNC6の改訂版。1.JNC6で「正常」「正常高値」としていた血圧値を「高血圧前症」(prehypertension)と定義、2.利尿薬を高血圧薬物治療の第一選択薬に、3.ステージ2高血圧では最初から2剤併用で治療を行う−−などの大改訂があり、世界中の注目を集めた(関連トピックス参照)。


 「完全版」は全47ページに渡る膨大なもの。大筋に速報版からの変化はなく、参考文献に「CHARM」や「EUROPA」(関連トピックス参照)など速報版公表後に発表された臨床研究が追加されているものの、合併症がある高血圧患者への積極適応薬剤クラスに変更はない。

 冒頭には、ガイドラインのポイント(key messages)として、次の9点が記載されている。
 ・50歳以上の人では、心血管疾患の危険因子として収縮期血圧(140mmHg以上)が拡張期血圧より重要
 ・心血管疾患の発症リスクは血圧が115/75mmHgから20/10mmHg上昇するごとに2倍になる
 ・55歳以上で正常血圧の人の90%が存命中に高血圧を発症する
 ・高血圧前症(120〜139/80〜89mmHg)の人には血圧上昇や心血管疾患を防ぐための生活改善が必要
 ・合併症のない高血圧の大半には、単剤または併用でサイアザイド系利尿薬を使用すべき
 ・ガイドラインには利尿薬以外の降圧薬が必須となる特定の高リスク病態が概説されている
 ・糖尿病や慢性腎疾患患者では降圧目標値の達成に2剤以上の併用が必要となる
 ・降圧目標値より収縮期で20mmHg以上または拡張期で10mmHg以上血圧が高い人には、最初から2剤併用(うち1剤は通常サイアザイド系利尿薬)を考慮すべき
 ・治療・ケアの如何によらず、患者が治療プランに留まるよう動機付けられていない限り血圧のコントロールはできない。肯定的な経験、医師への信頼と(患者への)共感が患者の動機となり満足感となる

 「完全版」の論文のタイトルは、「Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.5.15 米JNCが高血圧ガイドラインを改訂、血圧120〜139/80〜89mmHgを「高血圧前症」に
◆ 2003.9.5 ESCで発表の3臨床試験「CHARM」「EUROPA」「ESTEEM」、原著論文がLancet誌HP上で早期公開

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