2003.12.16

超持続型インスリン製剤「ランタス」が発売、眠前投与も可能に

 アベンティス ファーマは12月12日、超持続型インスリン製剤のインスリン・グラルギン(商品名:ランタス)を発売した。1日1回の皮下注射で安定した血中濃度を示し、従来の持続型インスリンのように朝食前だけでなく、就寝前の投与も可能である点が特徴。基礎インスリン製剤としては「50年ぶりの新薬」(アベンティス ファーマ)で、薬価算定(関連トピックス参照)に当たっては、類似薬効比較方式の算定薬価に「有用性加算2」が付与された。

 インスリンは、21アミノ酸からなるA鎖と、30アミノ酸からなるB鎖が3カ所のS-S結合(1カ所はA鎖間の結合)で結びついている。インスリン・グラルギンはインスリンの誘導体(アナログ)で、A鎖の21番目のアスパラギンをグリシンに置換、B鎖の末端(30番目)の後ろにアルギニンを二つ結合した構造を持つ(関連トピックス参照)。製剤は酸性(pH3.5〜4.5)に調整されており、インスリン・グラルジンは酸性環境では溶解しているが、皮下投与後の中性環境では微粒子状に沈殿する。そこから徐々に血中に溶出、フラットな血中濃度が長時間維持される仕組みだ。

 承認された効能は「インスリン療法が適応となる糖尿病」で、他の持続型インスリン製剤とは異なり、投与タイミングに「朝食前30分以内」という縛りがない。海外で行われた臨床試験で、朝食前でも眠前でも効果に差がないことが示されているためだ(関連トピックス参照)。承認用法・用量では、初期量4〜20単位、維持量4〜80単位を1日1回皮下注射するが、注射時刻は朝食前または就寝前のいずれでもよいとされた。

 使用上の注意点は、基本的には従来の持続型インスリン製剤と変わらない。ただし、持続時間が従来製剤より長く、血中濃度のピークを持たないなどの特性があるため、低血糖発現状態の変化に一層の注意が必要となる。1.従来の持続型製剤とは異なり製剤が透明なので、速効型・超速効型インスリン製剤と混同しないこと、2.使用開始後の使用期限は4週間であること−−の2点も、患者に伝えるべきポイントだ。

 販売される製剤は、カートリッジ形式の「ランタス注カート300」(投与には専用のペン型注入器を使用)と、キット形式(カートリッジが既に注入器に装着されたディスポーザプル製剤)の「ランタス注キット300」の2種類。薬価はカートが1筒1967円、キットが2725円だ。わが国のインスリン製剤市場は年間約500億円だが、アベンティス ファーマでは10年後に年間200億円を販売したいとしている。

 この件に関するアベンティス ファーマのプレス・リリースは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.12.5 中医協、テリスロマイシンなど新医薬品の薬価収載を了承
◆ 2002.9.5 EASD学会速報】超持続型インスリン、NPHインスリンとほぼ同等の血糖コントロールで低血糖発作を低減
◆ 2003.8.28 国際糖尿病学会速報】超持続型インスリンの投与、朝でも就寝前でも効果は同等

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