2003.12.12

HIV感染者への初回HAART療法、AZT+3TC+EFVが最良の組み合わせに−−ACTG 384研究より

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者に対する初回の多剤併用療法(HAART療法)を比較した米伊の無作為化試験で、検討した6通りの組み合わせの中では、ジドブジン(AZT、わが国での商品名:レトロビル)、ラミブジン(3TC、わが国での適応商品名:エピビル)とエファビレンツ(EFV、わが国での商品名:ストックリン)の3剤併用療法が、最も優れていることがわかった。

 一方、初回治療としてジダノシン(ddI、わが国での商品名:ヴァイデックス)とスタブジン(サニルブジン、d4T、わが国での商品名:ゼリット)を含むレジメン(治療薬の組み合わせ)を用いた場合、副作用が問題となるケースが明らかに多かったという。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌12月11日号に掲載された。

 HAART療法では通常、ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤に、プロテアーゼ阻害薬(PI)または非ヌクレオシド系の逆転写酵素阻害薬(NNRTI)のどちらか1剤を組み合わせる。初回のレジメンが効かなくなったり、副作用のため続けられなくなった場合には、3剤とも前とは違う薬剤に切り替える。例えば、初回の3剤をNRTIの2剤とPIにした場合、次の3剤はNRTIの別の2剤とNNRTIにする。また、NRTI2剤にPIとNNRTIの両者を併用する4剤併用療法を最初から試すという考え方もある。

 切り替えを前提とした3剤併用療法と、最初から4剤を組み合わせるという戦略は、どちらが優れるのか。切り替えを前提に3剤併用療法を行う場合、PIとNNRTIはどちらを先に処方した方が良いのか。NRTIの初回の組み合わせは−−。そうした様々な臨床上の疑問に答えるために計画されたのが、「ACTG 384」(AIDS Clinical Trial Group 384)研究だ。

 ACTG 384研究では、抗HIV薬治療を受けたことがないHIV感染患者980人を、まず3剤併用療法群(620人)と4剤併用療法群(360人)に無作為に分けた。次に、3剤併用療法群を、先にPIのネルフィナビル(NFV、わが国での商品名:ビラセプト)を含むレジメンを処方する群と、先にNNRTIのEFVを処方する群とに分け、さらにそれぞれを、先行NRTI2剤としてAZT+3TCを処方する群と、先行NRTI2剤としてddI+d4Tを処方する群に分けた。一方の4剤併用療法群は、PIのNFV、NNRTIのEFVに加え、NRTI2剤としてAZT+3TCを用いる群と、ddI+d4Tを用いる群に分けた。

 かなり込み入った設計の試験だが、要するに3剤併用療法が4群、4剤併用療法が2群の、計6群間で比較を行った。具体的には、1.初回AZT+3TC+NFV群(まずAZT+3TC+NFVを処方、効果不十分または副作用のためにこの3剤が使えなくなったらddI+d4T+EFVに切り替える)、2.初回AZT+3TC+EFV群(ddI+d4T+NFVに切り替え)、3.初回ddI+d4T+NFV群(AZT+3TC+EFVに切り替え)、4.初回ddI+d4T+EFV群(AZT+3TC+NFVに切り替え)、5.AZT+3TC+NFV+EFV群、6.ddI+d4T+NFV+EFV群−−の6群。

 中央値で2.3年追跡したところ、「3剤併用を切り替える」戦略の4群中では、初回にAZT、3TCとEFVの3剤を用いた群で、初回の組み合わせが使えなくなるまでの期間、2回目の組み合わせが使えなくなるまでの期間の両者が、最も長いことが判明。抗ウイルス効果が現れるまでの時間も、最も早かった。

 さらに、3剤併用を切り替える群と4剤併用群との間には、HIVコントロール期間に差がないことが判明。結局、今回検討した6通りの組み合わせの中では、AZT、3TCとEFVの3剤併用療法が初回治療として最も優れることが明らかになった。

 また、副作用に関しては、初回治療にddI+d4Tを含むレジメンを用いた群で、麻痺や膵炎など臨床上問題となる副作用が多いことがわかった。以上から研究グループは、今回検討したレジメンの中から初回治療を選ぶ場合、AZT、3TCとEFVの3剤併用療法を行うべきで、ddI+d4Tを含むレジメンは採用すべきではないと結論付けている。

 ACTG 384研究のうち、3剤併用の4群間比較に関する論文のタイトルは、「Comparison of Sequential Three-Drug Regimens as Initial Therapy for HIV-1 Infection」。アブストラクトは、こちらまで。3剤併用と4剤併用の比較に関する論文のタイトルは、「Comparison of Four-Drug Regimens and Pairs of Sequential Three-Drug Regimens as Initial Therapy for HIV-1 Infection」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 参考トピックス ■
◆ 2003.7.16 HHSがHIV治療ガイドラインを改訂、初めて“第一選択のレジメン”を明示

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