2003.12.10

アーティチョークに二日酔いの予防効果なし−−英研究

 忘年会シーズンもたけなわ、二日酔いに悩まされている人には、ちょっと残念な研究結果が報告された。「二日酔いに効く」とヨーロッパで人気のサプリメント、アーティチョークに、どうやらそんな効果はないというのだ。研究結果は、カナダ医師会の学術誌であるCanadian Medical Association Journal(CMAJ)誌12月9日号に掲載された。

 アーティチョーク(チョウセンアザミ)は、地中海地方で古くから親しまれてきた野菜。花のつぼみの部分をゆでて食べるが、ユリネのようなほっこりとした食感の中に、ほのかな苦味が混ざる「大人の味」だ。このアーティチョーク抽出物には、様々な健康効果が認められている。

 アーティチョーク抽出物の代表的な健康効果は、コレステロール代謝を活性化する、というもの。この効果は、きちんとした臨床試験で実証されたもので、「コクラン・ライブラリー」という英国の臨床研究評価書にも載っているほどだ。また、アーティチョーク抽出物には「お酒の代謝を早める」というデータも報告されており、そこからの類推で、欧州では「二日酔いに効くサプリメント」として広く普及、日本でもインターネットなどを通して販売されている。しかし、本当に二日酔いを予防する効果があるかについては、よくわかっていなかった。

 そこで、英国Exeter and Plymouth大学補完医療部門のMax H. Pittler氏らは、二日酔いに影響を与える可能性がある条件を揃えた上で、アーティチョーク・サプリメント、または外観では見分けが付かない偽薬(プラセボ)を服用してもらう、厳密な臨床試験を実施。1週間間隔で2回「二日酔い実験」を行い、アーティチョーク・サプリまたはプラセボを飲んだ後で、二日酔いの症状がどのように変わるかを調べた。

 研究には15人の成人男女が参加、くじ引きで「1回目の実験でアーティチョーク・サプリ、2回目にプラセボを飲むグループ」と「1回目はプラセボ、2回目にアーティチョーク・サプリを飲むグループ」に分かれた。「二日酔いに効く薬を飲んだ」と思うだけで結果が変わってくる恐れがあるので、研究に参加した本人には、自分がどちらのグループに入っているかがわからないようにした。

 実験では、晩ご飯としてパスタを食べた後、割り付けられた薬を服用。「これだけ飲んだら二日酔いする」と思う量だけお酒を飲んでから、もう一度薬を服用、翌朝9時に「二日酔い症状シート」に症状と程度を記入してもらった。さらに、1回目の実験の際には、飲んだお酒の種類と量を記録。2回目の実験では、同じ量・内容の晩ご飯を食べた後、同じ量・種類のお酒を飲んで、条件を揃えた。

 二日酔い症状シートには、「疲労感」「頭痛」「吐き気」「下痢」など、お酒をたくさん飲んだ翌日によく現れる症状が20種類記載。当てはまる症状について、10段階で重症度を評価した。

 その結果、アーティチョーク・サプリを飲んだ時と、プラセボを飲んだ時で、二日酔いの症状の数や重症度には全く差がないことが判明。アーティチョークが二日酔いを抑える、とする確たる証拠は得られず、「二日酔いに効く」のはおそらく“気のせい”であることがわかった。なお、サプリを飲んだことによる特段の副作用も認められなかった。

 ちなみに、英国では毎年20億ポンド(約3770億円)が「二日酔い」のために失われているとの統計がある。二日酔いで会社を休む、などの労働損失がメインだというが、かなり驚きの額だ。研究グループは、「経済的な面から見ても、二日酔いを軽視すべきではない」として、二日酔いに関しきちんとした臨床研究を行うよう訴えている。

 この論文のタイトルは、「Effectiveness of artichoke extract in preventing alcohol-induced hangovers: a randomized controlled trial」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

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