2003.12.08

【性感染症学会速報】 保護者と高校生に大きな意識ギャップ、性教育に前向きだが知識は不十分な親たちの実態も明らかに 

 保護者の8割は親自身で性交や避妊まで教えるべきだと考えているが、緊急避妊法は9割、女性用コンドームも半数以上が知らないなど、知識が十分とは言えない。その一方で、子どもたちとの意識ギャップはかなり大きい−−。12月6日の一般口演「社会医学」で、産業医科大学の劔陽子氏が、悩める親たちの実像を報告した。

 劔氏らの研究グループは、北九州市内の4カ所で若者の性をテーマにした講演会に参加した保護者に対する自記式質問紙による調査と、ほぼ同時期に実施された高校生に対する質問紙調査のうち、女性保護者120人と高校生女子1427人の回答を分析した。

 その結果、保護者の多くは比較的早期からの性教育に前向きで、親自身が教えることに義務感を感じているが、肝心の性知識は十分とは言えないことが判明した。

 自分の子どもに対していつから性について教えるべきかという問いに対して、小学校から教えるべきだとの回答が83.3%を占めた。

 だれが教えるべきかについては、「親」が76.1%で最も多く、次いで、「学校で学外の講師が教える」が68.7%、「学校で学校の教員が教える」が49.3%だった。また内容では、段階に応じて性交や避妊についても教えるべきだという回答が86.2%と圧倒的だった。

 半面、具体的な性知識になると保護者たちはやや心許ない。列挙された避妊法に対して知識を問う設問では、コンドームとピルの認知度こそ9割程度以上と高かったが、ペッサリーは42.2%、殺精子剤は18.8%、緊急避妊法については10.9%と低かった。また、女性用コンドームに対する知識は47.1%と低かった。

 性感染症では、エイズ、梅毒、淋病、クラミジアの認知度は75〜98%と高かったが、トリコモナスは54.2%、B型肝炎は47.5%、性器ヘルペスは50%などと低く、STD感染でHIVに感染しやすくなることも43.2%と認知が十分でなかった。

 一方、若者たち自身と保護者では、性行動に対する許容度のギャップは大きい。性行動はいつまで控えるべきかについての回答を見ると、結婚するまでは控えるべきとする回答が最も多くて35.1%を占め、中学を卒業するまでが5.4%、高校を卒業するまでが29.7%、就職するまでが16.2%など、8割の親たちが、せめて学校を卒業するまでは性行動を控えてほしいと思っていることが判明した。高校生に対するアンケートでは、約7割は「愛情があれば性行為を行ってもよい」と考えている。

 なお、売買春について容認する保護者はほぼ皆無だったが、高校生の14%は売春を、20%は買春を許容する回答をしており、高校生たちの性意識に潜む危うい側面も浮かび上がっている。(中沢真也)

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