2003.12.03

米で初のGnRHデポ剤アバレリックスがようやく承認、RMP下での限定販売に

 米国食品医薬品局(FDA)はこのほど、進行前立腺癌の内分泌療法薬として、アバレリックス(米国での商品名:Plenaxis)を承認した。適応は、骨髄圧迫や尿閉など腫瘍増大による症状があり、他の内分泌療法薬が使用できず、かつ性腺摘除(去勢)を拒否した進行前立腺癌患者。臨床試験で重篤な副作用(即時性アレルギー反応)が確認されたため、契約医師のみが患者の承諾書を得た上で注射する、リスク管理プログラム(RMP)下での限定販売となった。

 アバレリックスは米国のバイオベンチャー、Praecis Pharmaceuticals社が開発した、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)拮抗薬のデポ剤(長期効果薬)。GnRHデポ剤が承認されるのはこれが初めてだ。前立腺癌の内分泌療法には黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作動薬のデポ剤がよく使われるが、LHRH作動薬では注射後、一時的に血中テストステロン値が反跳するため、既に骨髄圧迫など腫瘍増大による症状がある患者には、症状を悪化させる恐れがあるため使えなかった。

 アバレリックスは、520人の進行前立腺癌患者(無症状者含む)を対象とした二つの無作為化比較試験で、テストステロン値の一時的上昇が全く生じないことを実証。対照薬のLHRH作動薬では84%の患者にテストステロン値の一時的上昇がみられており、腫瘍による圧迫症状がある患者にも使いやすいデポ剤として期待を集めた。しかし、アナフィラキシーショックを含む即時的アレルギー反応が、約1%の患者に生じることも判明。対象を限定した追加試験を行い、RMP下での販売という条件付きで、ようやく承認されたとの経緯がある。

 追加試験は、有症状の進行前立腺癌患者81人を対象に実施、2週間に1回注射すれば、少なくとも12週間は性腺摘除術を避けられることが示された。9割の患者には、痛みや尿閉の改善など臨床的なメリットも現れた。しかし、うち3人には重篤なアレルギー症状が発現し、一人はショック状態に陥った。

 同薬が適応となる患者は前立腺癌患者の5〜10%を占めると見積もられているが、重篤な副作用も生じ得るため、FDAはRMP下での販売を指示。さらに、臨床試験ではアレルギー反応が注射直後に生じているため、注射後30分間は医師による経過観察を行うことを条件付けた。経過観察が確実に行われるよう、アバレリックスは処方薬局では取り扱わない。同薬はPraecis Pharmaceuticals社にとって初の承認薬だが、かなり厳しい門出となった。

 この件に関するFDAのニュース・リリースはこちら、Praecis社のニュース・リリースはこちらまで。なお、追加試験の原著論文はUrology誌11月号に掲載されている。原著論文のタイトルは「An open-label study of abarelix in men with symptomatic prostate cancer at risk of treatment with LHRH agonists」、アブストラクトはこちらまで。(内山郁子)

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