2003.12.02

大腸憩室の穿孔をカルシウム拮抗薬が予防か、症例対照研究が示唆

 英国で行われた症例対照研究で、大腸憩室に穿孔を起こした患者では、年齢と性別をマッチさせた対照群よりも、カルシウム拮抗薬の服用率が低いことが判明した。カルシウム拮抗薬には平滑筋を弛緩させるなどの作用があり、大腸憩室の穿孔を予防する方向に働いている可能性があると研究グループはみている。研究結果は、Gut誌12月号に掲載された。

 この研究を行ったのは、英国East Anglia大学医療政策学部門のC. R. Morris氏ら。Morris氏らは、英国では年間2000人が大腸憩室穿孔を起こし、死亡率が12〜36%と極めて高いにも関わらず、有効な予防薬が知られていない点に着目。消化管の弛緩作用などが報告されているカルシウム拮抗薬や抗コリン薬(ムスカリン受容体遮断薬)に、大腸憩室穿孔の予防作用が見込めると考え、症例対照研究で検証することにした。

 対照群として選定したのは、白内障手術による入院患者と、皮膚癌手術による入院患者の2群。いずれも、大腸憩室穿孔患者と同様に高齢者が多く、かつカルシウム拮抗薬の服用率(高血圧や虚血性心疾患の罹患率)が同年齢層の一般市民並みと予想されたためだ。Morris氏らは、大腸憩室の穿孔のため入院した連続120人を「症例群」、症例群と性別、年齢をマッチさせた240人ずつを先の2群から選んで「対照群」とし、症例群と対照群とで服用薬を比較した。症例群の年齢の中央値は74歳で、3分の2が女性だった。英国は家庭医制度をとっているため、服用薬や他の合併疾患は患者の登録家庭医に問い合わせて確認した。

 その結果、症例群ではカルシウム拮抗薬の服用率が6.7%(8人)と、眼科対照群(34人、14.2%)や皮膚科対照群(38人、15.8%)よりも有意に低いことが判明。一方、抗コリン薬の服用率は、症例群が11.7%、眼科対照群が9.2%、皮膚科対照群が10.0%で、3群間に差は認められなかった。なお、カルシウム拮抗薬が適応となる、循環器疾患の罹患率には3群間に差がなく(順に33%、38%、36%)、循環器疾患に適応がある薬剤の総服用率にも差はなかった(順に41%、44%、46%)。

 循環器疾患の罹患率は変わらないのに、大腸憩室穿孔患者のカルシウム拮抗薬服用のオッズ比が、白内障患者を対照とした場合は0.41(95%信頼区間:0.18〜0.93)、皮膚癌患者を対照とした場合は0.36(同:0.16〜0.82)と、いずれも有意に低い−−。この結果を受け研究グループは、今後は服用期間などとの関連性についても検討を進め、将来的には穿孔リスクが高い大腸憩室炎患者を対象とした臨床試験へとつなげたいとしている。

 日本人などの東洋人では、大腸憩室が右側結腸によく生じることがわかっており、左側結腸に好発する欧米人とは病態が異なる可能性がある。今回の結果が日本人にもそのまま当てはめられるかは不明だが、カルシウム拮抗薬の服用率が比較的高いわが国で、同様の関連がみられるかの検討が待たれるところだ。

 この論文のタイトルは、「Do calcium channel blockers and antimuscarinics protect against perforated colonic diverticular disease? A case control study」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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