2003.12.01

【再掲】局所進行喉頭癌への放射線化学同時併用療法、高い喉頭保存率が確認

再掲】局所進行喉頭癌への放射線化学同時併用療法、高い喉頭保存率が確認 病期3〜4の喉頭癌患者547人を対象とした無作為化試験で、放射線療法単独群や、化学療法後に放射線療法を併用した群よりも、放射線療法と化学療法を同時に行った群で、2年後の喉頭保存率が有意に高いことがわかった。生存率には3群間で有意な差がないことから、「癌が局所に留まっていれば、進行癌でもまずは放射線化学同時併用療法を試みるべき」と研究グループは提言している。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌11月27日号に掲載された。

 局所進行の喉頭癌に対しては、従来、喉頭全摘術が行われてきた。ところ
が、1992年に発表された無作為化研究で、化学療法後に放射線療法を併用した患者でも最初から喉頭を全摘した患者と生命予後に差はなく、しかも64%の人では喉頭を保存できることが判明。喉頭全摘により声を失うことで損なわれる生活の
質(QOL)を考慮して、こうした患者群に対し、米国では「化学療法後の放射線療法」が標準治療となった。しかし、放射線療法に化学療法を加える意義は明らかではなく、しかも化学療法をどのタイミングで行うのがベストかについてはわかっていなかった。

 そこで、米国の癌放射線療法研究グループ(RTOG;Radiation Therapy Oncology Group)と頭頚部共同グループ(Head and Neck Intergroup)は、進行喉頭癌患者を対象に、1.放射線療法、2.放射線化学療法(化学療法後に放射線療法を施行)、3.放射線化学同時併用療法−−の三つの治療戦略を無作為化比較する臨床試験を企画。リンパ節転移がある患者は外科的に郭清し、治療への反応が不十分だったり、再発がみられた場合は救援(サルベージ)療法として喉頭全摘術を行うとの条件下で、3群間の喉頭保存率を比較した。

 対象は、声門または声門上部に3〜4期の初発癌があり、全身状態が比較的良く(Karnofskyのパフォーマンス・ステータスが60以上)、遠隔転移がない547人。癌種や浸潤度、リンパ節転移数などで層別化した後3群に無作為に割り付け、中央値で3.8年追跡した。放射線の総線量は3群とも70グレイで、35回に分割して1回2グレイずつ照射した。化学療法には、放射線化学療法ではシスプラチン+フルオロウラシル、放射線化学同時併用療法ではシスプラチン単剤を用いた。年齢の中央値は59歳、8割が男性で、3分の2は声門上部癌、3分の2は病期3だった。

 その結果、2年後の喉頭保存率は、放射線化学同時併用療法群(172人)が88%と、放射線化学療法群(173人、75%)や放射線療法単独群(173人、70%)より有意に高いことが判明。発声や嚥下など喉頭機能の保持率も有意に高かった(順に78%、61%、56%)。無再発生存率は、化学療法を行った2群で放射線療法単独群より有意に高かったが、生存率には3群間の差はなかった。一方の副作用は、化学療法を行った2群で放射線療法単独群より有意に多く、グレード3〜4の副作用発現率は順に82%、81%、61%だった。

 今回の研究結果が示すのは、重度の副作用発現率の高さには留意すべきものの、放射線療法と化学療法を同時に行うと、放射線療法単独、あるいは先に化学療法を行ってから(導入化学療法)放射線療法を併用した場合と比べ、生命予後は変わらず喉頭の保存率が高いということ。研究グループは、進行癌でも腫瘍が局所に留まっている場合、「外科切除は(治療に十分反応しないなどの場合の)救援療法としてのみ行うべきだ」と強調している。

 この論文のタイトルは、「Concurrent Chemotherapy and Radiotherapy for Organ Preservation in Advanced Laryngeal Cancer」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 訂正 ■
 記事中「咽頭」と記述した部分は「喉頭」の間違いでした。お詫びして訂正致します。

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