2003.11.27

【救急医学会速報】 救急救命士の包括的指示による除細動、規定の教育効果に疑問も

 今年4月から、救急救命士は医師による直接的な指示なしに除細動を実施できるようになった。しかし、個々の地域での準備状況の違いや実施時期に対する認識の違いなどから、一部地域では必要な教育の実施に苦慮した例もあったようだ。防衛医科大学校病院救急部の清住哲郎氏が、11月21日のパネルディスカッション4「Medical Controlと救急救命士の業務拡大」で埼玉県の実例について報告した。

 救急救命士はもともと医師の直接的指示下での除細動は実施しているが、埼玉県西部第一地域では、実技を含めた集合教育を義務付けることにした。座学で包括的指示下除細動の全体像、地域の方針、プロトコル、検証票記載要項を説明した後、マネキンを用いて10シナリオの実習を行った。

 清住氏らは教育効果を比較判定するため、講習実施の前後でアンケートをとって評価した。66人の回答によると、所属している機関では「ビデオ視聴だけの実習」が45.5%、「勉強会や説明会を実施」が約21%で、実技訓練を実施したのは約32%と全体の3分の1に過ぎなかった。

 ところが、問題なのはビデオ視聴が適正に実施されていなかったことだ。きちんと最後までみたのはほぼ3分の1の約35%に過ぎず、「時々中座したり早送りしながら見た」が実に約52%を占め、「途中で挫折」、「まったく見ていない」が約14%にのぼった。

 このため、独自講習受講前には、包括的指示下での除細動そのものについては約94%が「理解」「おおむね理解」としていたが、プロトコルについては、「いまひとつ分からない」が約36%と多く、講習の必要性を「非常に感じる」が約38%、「感じる」が約53%と9割以上が講習の必要性があると認識していた。受講後のアンケートでは、プロトコルについても「理解」「おおむね理解」が約96%と十分高くなり、講習会の定期的開催について、約80%の参加者が「必要」と回答したという。

 必要な知識の習得が実現できたかどうかについては、何らかの試験を実施して比較しなければ、公平な評価を与えることはできないが、ビデオによる座学だけとよしとする教育方針を不十分だと考える受講生が多いのは確かなようだ。(中沢真也)

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