2003.11.27

米国女性、子宮癌検診のガイドライン変更に不信感

 米国では子宮癌検診の検査間隔を、低リスク者では2〜3年おきで十分とするガイドラインが発表されたが、米国女性を対象とした面談調査で、このガイドライン変更に多くの女性が不信感を抱いていることがわかった。40年以上に渡り、毎年検査を受けるよう勧められてきた側にとっては、いかに科学的なエビデンスがあるとはいえ、ガイドライン変更はにわかには受け入れ難いものだったようだ。調査結果は、Annals of Family Medicine誌11/12月号に掲載された。

 この調査を行ったのは、米国Michigan州立大学家庭医療部門のMindy Smith氏ら。Smith氏らは、米国予防医療専門委員会(USPSTF)などのガイドライン(関連トピックス参照)で、子宮頚癌スクリーニング検査として行うパップスミア検査(子宮頚または膣分泌液の塗抹標本検査)の実施間隔を、数年連続して異常がなかった「低リスク者」では2〜3年おきに広げて良いとした点に着目。こうした「リスクに応じたスクリーニング戦略」が、検査を受ける側にはどのように認識されているかを調べた。

 調査対象は都市部、郡部の診療所と、大学病院の外来の、いずれかに受診歴がある米国女性。対象の選択にあたっては、年齢層や人種、最終学歴などで層別化し、様々な背景を持つ女性の声を反映できるよう配慮した。調査人数は68人。

 その結果、年齢や人種、学歴によらず、ほとんどの人が「子宮癌検診は毎年受けるべき」と考えていることが判明。実際に毎年は受けていない人でも、考え方は変わらなかった。毎年受診すべきと信じる理由は様々で、「毎年検診を行うことで子宮癌で死ぬ人が減った」というものから「検査は不正確なので毎年受けないと見落とされるリスクが高まる」というものまであった。

 「低リスク者の検査間隔は2〜3年置きでも良い」とするガイドライン変更に対しては、ほとんどの人が「強く反対」と回答。医師と話し合って納得できたら間隔を広げても良いとする人がいる半面、ガイドライン変更は保健維持機構(HMO;マネジドケアの一種)など保険会社の意向を受けたものだと考える人もいた。多くの人は、十分な情報を得た上で、検査間隔などを最終的には自分で決めたいと考えていた。

 研究グループは、今回のガイドライン変更に対しては女性の多くが不信感を抱いており、検査間隔も含め、自分が受ける医療は十分な情報を得た上で自己決定したいと考えていると結論。医療に関する政策変更などを行う場合、事前に医療を受ける側の声を十分に聞くことが重要ではないかと提言している。

 医療分野で、例えば検査間隔を狭める、診断基準を厳格にする、などの動きがあった場合は「医者や製薬会社が儲けたいためだ」、逆に検査間隔を広げたり診断基準を引き上げた場合は「医療費を抑制するためだ」との声がしばしば上がるもの。今回の調査結果も、その意味で予想の範囲内ではある。しかし、政策やガイドラインの変更に際し、実際に患者の声を聞く調査が、これまでどれだけ行われただろうか。“納得診療”の納得を得る作業を現場の医師だけに任せるのではなく、広く国民の合意を得る姿勢が、行政や学会にも問われる時代になったと言えそうだ。

 この論文のタイトルは、「Periodic Abstinence From Pap (PAP) Smear Study: Women’s Perceptions of Pap Smear Screening」。現在、全文をこちらで閲読できる(リンク先の運営次第で変更になることがあります。ご了承下さい)。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2003.1.31 USPSTFが子宮頚癌スクリーニングで新GL、21〜65歳の全女性へのパップスミア検査を強く推奨

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