2003.11.27

女性の心筋梗塞、“前駆症状”に男性と大差

 急性心筋梗塞(AMI)を起こし、救命された女性515人を対象とした米国の調査で、AMI男性の多くが前駆症状として経験する「胸部の不快感」が、女性では3割にしか起こっていなかったことがわかった。女性の場合、「疲労感」と「睡眠障害」が二大前駆症状だったという。研究結果は、Circulation誌11月25日号に掲載された。

 胸部の不快感が続いていた人が、急に胸痛を訴えて入院、AMIと診断される−−。これがAMIの“典型例”だが、女性ではこうした典型的な経過をたどらないケースが少なくないことが、臨床現場では古くから知られている。しかし、女性の“典型例”がどのような病態を示すかは、よくわかっていなかった。

 そこで、米国Arkansas大学看護学部のJean C. McSweeney氏らは、AMI後に生存退院した女性712人に電話を掛け、AMIを起こす1カ月前と直前にどんな症状があったかを、症状リストを用いて調査した。調査は、「AMIの前にはあったが今はない症状」を正確に思い起こしやすいよう、退院4〜6カ月後に実施した。

 回答した515人の平均年齢は66歳、9割強が白人で、半数強は高卒。95%は何らかの前駆症状を感じていた。内訳(複数回答)をみると、「異常な疲労感」(70.7%)と「睡眠障害」(47.8%)が二大前駆症状で、この二つは症状の程度も重かった。次いで「息切れ」(42.1%)、「消化不良」(39.4%)と「不安感」(35.5%)が続いたが、これらは症状の重さが人によりまちまちだった。一方、AMIの典型的な前駆症状とされる「胸部の不快感」を挙げたのは29.7%に過ぎなかった。

 AMIの初期症状(AMIの直前の症状)にも、“典型例”とは大きな違いがあった。43%には全く胸部症状がなく、初期症状として多かったのは「息切れ」(57.9%)、「倦怠感(weakness)」(54.8%)、「異常な疲労感」(42.9%)、「冷や汗」(39%)、「めまい・ふらつき」(39%)だった。

 今回の調査結果が示すのは、「疲れ」という非特異的な症状が、女性の場合、心筋梗塞のサインである可能性があるということ。McSweeney氏らは「女性が男性より突然死の比率が高いのは、こうした症状が見逃されやすいためではないか」と考察、原因不明の疲労感を訴える女性を診察した場合、症状の重さを聞き出し、心血管疾患リスクを評価して、注意深い経過観察を行うよう提言している。

 この論文のタイトルは、「Women’s Early Warning Symptoms of Acute Myocardial Infarction」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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