2003.11.26

コップ2杯の水が立ちくらみを予防−−米研究

 急に立ち上がったり、朝礼や通勤電車などで長時間立ち続けた時に、ふらっとして目の前が暗くなり一瞬意識が遠のく−−。このような立ちくらみ(脳貧血)を、水をコップ2杯飲むだけで、予防できる可能性があることがわかった。健康な男女22人に人為的に立ちくらみを起こす検査を受けてもらったところ、5分前に水を2杯飲んだ時には、何も飲まなかった時よりも立ちくらみが起こりにくかったという。研究結果は、Circulation誌11月25日号に掲載された。

 この研究を行ったのは、米国Vanderbilt大学自律神経失調症センターのChih-Cherng Lu氏ら。脳貧血は脳への血流が一時的に不十分になるために起こるが、その原因の一つに自律神経失調による血圧調節機能の異常がある。Lu氏らは、自律神経失調症がある人の場合、「水を飲むと血圧が上がる」ことを発見。事前に水を飲むことで、脳貧血を防げる可能性があると考え、実験を行うことにした。

 研究には18歳から42歳の健康な男女11人ずつが参加。参加者には脳貧血の検査を二日間、1回2時間ずつ受けてもらったが、どちらか1日は検査の5分前に室温の水をコップ2杯(16オンス、約473ml)飲んでもらった。「初日に水を飲む」か「二日目に水を飲む」かは、くじ引きで無作為に決めた。なお、血圧などに影響を与える恐れがあるカフェインやアルコール、たばこは、1週間前から控えてもらった。

 脳貧血の検査は、起立負荷試験(ティルト試験)と呼ばれるもの。ベッドの上に横になり、しばらく安静を保った後、徐々にベッドを起こしていく。そして、傾斜角60度にまで起こした、つまり体が斜め後ろに倒れた状態で45分間立ってもらい、脳貧血を起こす(血圧が30mmHg以上、心拍数が10以上下がる)までの時間を調べるというものだ(日本では普通、傾斜角80度で検査を行っている)。

 その結果、事前に水を飲んだ場合は、水を飲まなかった時よりも、脳貧血を起こすまでの時間が長い(順に平均41分、32分)ことが判明。寝た状態から体を起こしていくと心拍数が急増するが、水を飲んだ場合は心拍数の変動が少ないこともわかった。血圧を保つ仕組みの一つである末梢血管抵抗は、水を飲んだ時の方が上昇していた。

 以上からLu氏らは、水を飲むと末梢血管抵抗が上がり、起立負荷をかけた時に脳貧血を起こしにくくなると結論。ただし、この「飲水予防法」の弱点は、脳貧血を起こす前に水を飲まなければいけないこと。いつ脳貧血が起こるかわからない状態では役に立たない。そこでLu氏らが提言するのは「献血前の飲水」だ。米国では毎年、15万人以上が献血の後に脳貧血を起こすが、その予防にも使える可能性があるとLu氏らは考えている。

 この論文のタイトルは、「Water Ingestion as Prophylaxis Against Syncope」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

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