2003.11.25

【救急医学会速報】 救急救命士の気管挿管実習、「自分が患者なら承諾する看護師」はわずか2割 

 2004年7月を目途に救急救命士に対して気管挿管を認める条件の一つとして、病院内で30症例の気管挿管実習を修了することが義務付けられることになった。しかし、医療従事者の間でもこうした事実の認知は低いことがわかり、行政などによる広報不足が浮き彫りになった。加えて、「自分が患者だったら気管挿管実習を承諾するか」という問いに承諾すると答えたのは、医師の6割程度に対して、看護師と一般職はともに2割前後と低く、職種間の意識に大きな差が認められた。11月19日の一般口演「救急医療体制2」で、岐阜県高山市の高山赤十字病院救急部の白子隆志氏が自院におけるアンケート調査の結果をもとに報告した。

 白子氏らの研究グループは、高山赤十字病院で患者と職員を対象に、救急救命士とその活動に対する認知度についてのアンケート調査を実施した。患者は、2003年9〜11月に麻酔科術前診察を受けた全身麻酔予定者の51人を対象とした。職員は、医師33人、看護師259人、薬剤師8人、検査技師32人、事務職51人を対象とした。調査結果では、薬剤師、検査技師、事務職を一般職としてまとめて示している。

 アンケートの主な設問は、1.救急隊員の中に救急救命士がいることを知っているか、2.救急救命士が国家資格を持つ医療職であることを知っているか、3.当病院が救急救命士の病院実習を行っていることを知っているか、4.自分が全身麻酔を受ける際、救急救命士の気管挿管実習を承諾するか、というもの。職員にはこのほかに、「救急救命士が実施可能な特定行為を挙げよ」「当地域でメディカルコントロール協議会が発足し、救急救命士が『医師の包括的指示下での除細動』を開始したことを知っているか」、の2問が追加されている。

 救急救命士に対する認知度では、一般職の低さが目立った。救急救命士の存在自体はほぼ全員が認知していたが、国家資格を持つ医療職であることを知っていたのは6割以下だった。また、救命士が可能な特定医療行為として、「輸液」「気道確保」「除細動」を挙げることができたのは、医師でも6割程度、看護師では5割に達せず、一般職では2割を切った。

 気管挿管実習に対する意識では興味深い結果が表れた。「できれば承諾」「積極的に承諾」と答えたのは、医師が最も高くて約6割であり、次が患者で5割弱が承諾とした。

 ところが、看護師と一般職はともに2割強と極めて低く、大きな差がついた。調査対象の患者は手術直前であり、病院側が実施するアンケートに否定的な回答をするのはためらったための好結果とも考えられるが、看護師と一般職の拒絶的ともとれる回答を見ると、救急救命士受け入れ病院ですら、認知や理解は不十分であり、教育や広報の必要性は大きいと考えられる。(中沢真也)

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