2003.11.21

新規乾癬治療薬2剤の第3相試験、原著論文がNEJM誌に掲載

 自己免疫疾患の一種である乾癬に対する、生物学的製剤2種の第3相試験に関する原著論文が、New England Journal of Medicine(NEJM)誌11月20日号に掲載された。一つは、この10月に米国で、乾癬を適応症とする2番目の生物学的製剤として承認されたエファリズマブ(商品名:Raptiva)。もう一つは、既に海外で関節リウマチ(RA)や乾癬性関節炎の治療薬として使われており、米国食品医薬品局(FDA)に乾癬への適応拡大申請がなされているエタネルセプト(商品名:Enbrel)。いずれも、乾癬の発症・増悪に関わる免疫系因子をピンポイントで抑制する作用があり、大きな注目を集めそうだ。

 乾癬は炎症性角化症(慢性炎症のために皮膚組織が異常に増殖・角化する疾患)の一つで、病態にはT細胞の“異常な活性化”が関与している。乾癬患者の皮膚では、抗原提示細胞(APC)から“異物”が提示されていないのにT細胞が活性化され、腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症性サイトカインが放出、慢性的な炎症状態を引き起こしているとされる。

 今回、第3相試験の原著論文が発表された2薬剤の一つ、エファリズマブは、APCによるT細胞の活性化に欠かせない、T細胞上の白血球機能関連抗原1(LFA-1)のサブユニットに対するヒト化モノクローナル抗体。一方のエタネルセプトは、TNFに対する可溶性受容体製剤だ。既存の免疫抑制薬とは異なり、乾癬の病態に関与する免疫系のみを特異的にブロック、効率良く症状をコントロールできると考えられている。

 エファリズマブの第3相試験対象は、中等症〜重症の乾癬患者597人。試験設計はやや複雑で、まず対象患者を無作為に3群に分け、プラセボまたはエファリズマブ1mg/kg、2mg/kgを週1回皮下に注射。12週後、実薬2群に割り付けられた患者を、効果の多寡により改めて2群に分ける。皮疹の程度と範囲に基づくPASIスコアが50%以上改善された人は、プラセボ、実薬2mg/kg週1回投与、実薬2mg/kg隔週投与の3群に割り付け、PASIスコアの改善が50%未満だった人はプラセボまたは実薬4mg/kg週1回投与の2群に割り付けて、計5群を12週追跡する。その後、全ての注射を中止してさらに12週追跡する、というものだ。

 対象患者の平均年齢は46歳、65%が男性で、罹病歴は平均19年。組み入れ時のPASIスコアは20.0で、3分の2は免疫抑制薬の服用など全身性の治療を受けていた。

 その結果、エファリズマブ1mg/kg週1回投与群の22%、2mg/kg週1回投与群の28%で、12週後のPASIスコアが75%以上改善。このように大幅な改善が認められた人では、実薬の使用を続けると8割で24週まで効果が維持されたが、実薬の使用を止める(プラセボを使用する)と、24週目には3割の人にしか改善効果が続かなかった。主な副作用は頭痛や感染、吐き気、発熱などで、大半は軽度〜中等度だった。

 エタネルセプトの第3相試験は、中等症〜重症の感染患者672人を対象としたもの。無作為に4群に分け、プラセボまたはエタネルセプト25mg週1回、25mg週2回、50mg週2回を皮下に投与した。12週後、実薬群は割り付け量の投与を続行、プラセボ群は実薬25mgの週2回投与を開始し、24週後まで追跡した。

 患者の平均年齢は45歳、67%が男性で、罹病歴は平均19年。22%は乾癬性関節炎を合併している(関連トピックス参照)。組み入れ時のPASIスコアは18.4で、4分の3は全身性の治療または光化学療法を受けていた。

 12週後にPASIスコアが75%以上改善したのは、プラセボ群が4%、エタネルセプト25mg週1回群が14%、25mg週2回群が34%、50mg週2回群が49%。24週後には、25mg週1回群の25%、25mg週2回群の44%、50mg週2回群の59%で「PASI75%以上の改善」が認められた。主な副作用は注射部位の局所反応や頭痛、上気道感染などだった。

 乾癬への効果が期待される生物学的製剤には、この2剤のほか、今年1月に米国で承認されたアレファセプト(商品名:Amevive、LFA-3とヒト免疫グロブリンGの定常領域との融合蛋白で皮下または静脈内に投与する)や、乾癬への適応拡大に向け海外で第3相試験中のインフリキシマブ(日本での商品名:レミケード、乾癬には適応外。TNFαに対するヒト化モノクローナル抗体で静脈内に投与する。関連トピックス参照)などがある。日本人は欧米人より乾癬の有病率が低く、患者数は数万人程度とみられているが、社会生活に大きな影響が現れる皮膚疾患であることに変わりは無い。日本人患者に対しても、治療の選択の幅が広がることに期待したい。

 エファリズマブに関する論文のタイトルは、「A Novel Targeted T-Cell Modulator, Efalizumab, for Plaque Psoriasis」。アブストラクトは、こちらまで。エタネルセプトに関する論文のタイトルは、「Etanercept as Monotherapy in Patients with Psoriasis」。アブストラクトは、こちらまで。(内山郁子)

■ 関連トピックス ■
◆ 2002.10.28 ACR学会速報】抗TNF薬エタネルセプトが乾癬性関節炎患者の関節破壊を抑制、第3相試験のフォローアップで判明
◆ 2003.7.28 田辺製薬、レミケード点滴剤に関節リウマチの効能追加承認を取得

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