2003.11.14

市民が利用するAEDでは使用時の明快な説明機能が不可欠−−除細動成功率の機種比較で判明

 公共施設など、医療機関外に設置された自動体外式除細動器(AED)を訓練を受けていない一般市民が利用する場合、除細動が成功するカギは使用時の説明機能が充実しているかどうかにかかっている。一般市民の使用を想定した4機種のAEDを比較したところ、除細動成功率に44〜100%という大きな差があることがWashington大学医療センターのJeanne E. Poole氏らの研究で明らかになった。11月9日のポスターセッション「CPR: Improvements and Assessing Outcome」で発表された。

 Poole氏らの研究グループは、35〜55歳のボランティアを募った。医療分野の就業経験や自己申告によってAEDの知識があるとした場合、過去2年以内に心肺蘇生の訓練を受けた経験がある場合などは排除した。参加条件を満たした男女各32人(中央値は44歳)を、男女8人ずつ無作為にAED1〜AED4の4機種に割り当てた。

 参加者は一人ずつ部屋に入り、床の上に着衣状態で置かれたマネキンに対して、近くに置かれたAEDで除細動を実施した。マネキンの胸部には電線が縫い込まれていて、心室細動(VF)の心電図波形を発するようになっている。AEDは実機だが実際のショック信号は発生しないように改造されたものを用いた。

 実験の結果は、ショッキングなものだ。AED2とAED3では、パッド(電極)を正しく装着できない参加者が続出した。AED2では2人、AED3では3人がパッドをパッケージから取り出す操作ができなかった。せっかく取り出してもパッドを貼り付けてあるシールをはがさない参加者がAED2では二人、AED3では4人いた。AED2では5人が服を脱がさずにパッドを装着してしまった。

 AED4では全員がパッドを皮膚に装着したが、56%に当たる9人は電極の位置が適切でなく、胸部に隣り合って並べる、パッド同士が接触する、垂直に並べるといった誤装着が目立った。この結果、パッド間の距離は、AED1が平均16cmと最も大きく、AED2が15cm、AED3が11cmだったのに対して、AED4では5.5cmと短かった。AED1とAED2のパッド間距離はAED3、AED4に対して有意に大きかった。

 正しい位置からのパッド装着位置のずれが最も少なかったのはAED2で、左右パッドとも平均3.5cmだった。AED4では右側のパッドが7.5cm、左側のパッドは12.3cmとずれが大きかった。

 装着位置の問題はあったものの、AED1とAED4では全参加者が除細動に成功した。これに対して、AED2の成功率は44%、AED3は75%だった。入室からショックまでに要した時間は、AED4が最も早くて平均93秒、次いでAED1の99秒だった。AED3では132秒、AED2では210秒で、AED1とAED4はAED2とAED3に比べて有意に早く、AED2は他の3機種よりも有意に遅かった。また、AED2で一人、AED4で二人がショックの最中にマネキンに触れていた。

 日本でも講習を受けた市民(非医師)に対して2004年にも使用が認められる方向にあるが、除細動が必要な現場に遭遇する機会は、通常、極めてまれなだけに、講習の成果を適切に発揮できるとは限らない。公共の場におかれるAED製品の使い勝手については、十分な検討が必要と言えそうだ。なお、本研究の研究グループには、AED1の製造メーカーの研究者が参加している。(中沢真也)

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