2003.11.14

疲労回復のトクホ表示獲得を目指す産官学連合が始動 アサヒビール、花王、武田薬品など18社が参加

 「疲労」というあいまいな状態を数値化し、疲労回復効果のある食品・医薬品の開発を目指す産官学の共同開発プロジェクト、「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」が、11月7日に始動した。

 3年間かけて各種試験を実施し、2007年に疲労回復効果をうたえる初の特定保健用食品(トクホ)の発売を目指す。

 客観的な測定が難しい疲労感の指標となるバイオマーカー(生体指標)を開発し、参画企業が持つ抗疲労効果を期待できる素材をこのバイオマーカーで試験。「肉体疲労を感じる方に適した(役立つ)食品です」といった表示が可能なトクホを開発するのが目標だ。

 現在、医薬部外品にも疲労回復効果の分類はなく、トクホ食品の効用としても存在していない。1社でバイオマーカーの探索・確定、トクホ表示のための各種試験を実施するには、費用と時間がかかる。これを産官学が共同することで、費用分担と開発期間の短縮を狙っている。

 企画・運営、研究開発の主体となるのは、バイオベンチャー企業の総合医科学研究所(大阪府豊中市、梶本佳孝社長)。

 産業界からはアサヒビールや伊藤園、大塚製薬、花王、武田薬品工業、明治乳業、三井物産など18社が参加。うち10社は基本的に9000万円ずつを負担する予定。

 大学は、大阪市立大学と大阪大学など。これに大阪市など、計25の企業・団体が参画する。

 計画によると、1年目は、96人の健康な男女(20〜60歳)を対象に、1クール2泊3日で精神負荷実験、身体運動負荷実験、対照実験(負荷を与えない)を全員に実施。

 期間中に、血液、尿、だ液などを採取して生化学検査や免疫学的検査などを行い、疲労の指標となるバイオマーカーを模索する。

 バイオマーカーの候補は、TGF-β、アシルカルニチン、カテコラミン、セロトニンなど、30種類以上を想定している。
 
 2年目は、疲労回復効果のあるカフェインやタウリン、アスコルビン酸の各成分と、参画企業が持つ新素材に対して、1年目で明らかになったバイオマーカーを用いて、疲労回復効果があるかどうかを調べる。

 「例えば、カフェインは疲れたと思ったときにとるのがいいとか、アミノ酸は疲れる作業の前にのむのがいいなど、各成分の特徴も調べたい」と、総合医科学研究所取締役で大阪外国語大学保健管理センターの梶本修身助教授は語る。

 3年目には、特定保健用食品の認可に向けての臨床試験を実施する。文部科学省の調査によると、日本は国民の約6割が疲労感を訴える「疲労大国」。「今、医療の現場では疲労感に対して出すもの(薬)がない。近い将来予想される混合診療の解禁で、医療の現場でも特定保健用食品の新たな市場が開けるはず」(梶本助教授)と同社はみている。(小山千穂)


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