2003.11.13

標準的治療へのアンジオテンシン受容体拮抗薬上乗せで心房細動が有意に抑制

 心不全(HF)患者ではしばしば心房細動(AF)が発生し、これが予後不良につながることが知られている。一方、最近の研究でレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の阻害によってHFや心筋梗塞後患者におけるAFの頻度や再発が減少することが示されている(SOLVD,TRACE)。イタリアANMCO Research CenterのAldo P. Maggioni氏らは11月11日午前の一般口演で、Val-HeFTサブ解析の結果から、1.BNP高値、高齢、糖尿病、心拍数がAFの独立した予測因子で、2.AF発生によって患者予後が悪化すること、3.既存の治療薬にARBバルサルタンを上乗せすることでAF発生率を33%有意に抑制しうることを報告した。

 本研究では、Val-HeFTに登録された症候性HF患者(EF<40%かつ心室拡張LVIDD〈左室拡張末期径left ventricular internal dimension at end-diastole〉>2.9)を対象としてAFの独立した予測因子の同定を試み、またAFの予後に与える影響とバルサルタンのAF発症抑制効果を検討した。

 Val-HeFTでは、患者は標準的治療に上乗せする形でバルサルタンまたはプラセボに無作為に割り付けられた。治療前のAF発生頻度は、605/5000例(12%)。23カ月のフォローアップ期間中には、5000例中328例(6.56%)でAFを認めた。

 ロジスティック回帰分析の結果、BNP97pg/ml以上(RR2.02、95%CI1.56-2.6、p<0.0001)、70歳以上の高齢者(RR1.36、95%CI1.06-1.76、p=0.01)、糖尿病(RR1.31、95%CI1.01-1.71、p=0.04)、心拍数72以上(RR0.77、95%CI0.61-0.98、p=0.04)が独立したAF発生の予測因子であることが明らかになった。またコックス比例ハザードモデルによる多変量解析の結果、AF発生が総死亡(RR Cox 1.36、95%CI1.08-1.70、p=0.008)、総死亡+心血管イベント(RR Cox 1.44、95%CI1.19-1.74、p=0.0002)の独立した予測因子であること、つまりAF発生によって予後不良となることが示された。またプラセボ群では2494例中196例(7.86%)でAFが認められたのに対して、バルサルタン群では2506例中132例(5.27%)と、AF発生率が33%有意に抑制されていた。

 Maggioni氏は本研究の限界として、事後解析であること、試験開始時のAFの有無確認が単回の心電図所見によること、試験期間中のAFが有害事象報告によること、発作性、持続性、慢性などAFのタイプまでは未確認であることを挙げ、バルサルタンの効果についても無作為化比較試験を行って確認すべきとの見解を示した。

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