2003.11.13

【AHA2003速報】 急性心筋梗塞の入院時死亡リスクは太っているほど低い!? JACCS研究で逆説的結果が判明

 急性心筋梗塞を発症して入院した症例について、発症後48時間以内の死亡率とBMIとの関連を調べたところ、BMIが高いほど死亡率が有意に低いという興味深い結果が判明した。11月11日のポスターセッション「Obesity and Cardiovascular Disease」で、熊本大学大学院医学薬学研究部循環器病態学教室の坂本知浩氏が発表した。報告は、厚生労働省班研究「Japan Acute Coronary Syndrome Study(JACCS)」の一環。JACCSは多施設後ろ向き観察研究で35医療機関が参加している。

 坂本氏らの研究グループは、2001年1月〜12月の間に急性心筋梗塞を発症して入院した患者1496人について、全症例をBMIによって374人ずつの4グループに分け、発症後48時間以内の死亡率とBMIとの関連を調べた。その結果、BMIが高いほど有意(P=0.0008%)に死亡率が低いことが判明した。BMI=<21.3では9.4%だったのに対し、BMIが21.4〜23.4では6.4%、同じく23.5〜25.5では5.1%、25.6以上では2.4%と、BMIが多いほど単調に減少していた。

 ロジスティック回帰分析によって、入院時死亡と有意な相関があったのは、心不全の重症度、年齢、BMIの3つ。いずれも多変量解析によって独立した危険因子であることが明らかになったという。BMIによって4グループに分けた患者群では、BMIが低いほど年齢が有意に高かったが、年齢で補正してもBMIが高い症例ほど死亡率が低かった。

 これらの患者群の血漿アディポネクチン濃度を調べたところ、対照群では平均10.9μg/mlだったのに対し、入院群では8.4μg/mlと有意に低かった。また、BMIとアディポネクチン濃度の間には有意な正の相関があった。血漿アディポネクチンは心血管系に対して保護的に働くことが知られており、逆説的結果の一因になっている可能性もある。

 肥満と心疾患リスクの逆説的関係を指摘した他の研究では、極端な肥満者では再びリスクが高くなるという結果を得ているものが多いが、本研究ではBMIが高いほど死亡リスクが低い単調減少になっている。これについて坂本氏は、「症例にあまり極端な肥満者がいないためではないか」としていた。(中沢真也)

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